楽天グループ(楽天)の21年12月期における国内EC流通総額は、前期比10.4%増の5兆118億円になった。コロナ禍になった前年からさらに成長し、5兆円を超えた。三木谷浩史社長は、次の目標である国内EC流通総額10兆円を前倒して達成できると見込む。そのためにジャンルに合わせたUXの改善、物流のさらなる強化を推進する考えを明らかにした。
国内EC事業におけるクロスユースが拡大しているという。ポイントキャンペーンや顧客囲い込み策、事業間送客、地域特化施策を進めることでクロスユースを促している。
21年10―12月期における「楽天市場」とクロスユースしたユーザー数は、「楽天GORA」で前年同期比19.6%増、「楽天西友ネットスーパー」で同29.8%増、「楽天ビューティ」で同35.2%増、「楽天ファッション」で同17.1%増になった。
三木谷社長は流通総額10兆円の計画を前倒しするため、「さらにUXを改善する必要がある。ジャンルに合わせた戦略を立てていく。ジャンルごとに専門的な委員会を作り、専門的な機能を付けていく。日本郵便と組んだので物流の強化にも取り組む」と展望を語った。
他にもリアルとネットのハイブリッドなサービスが普及する中で、店頭受け取りや店舗送客など、支援する取り組みを強化することも示唆した。さらに、ライブコマースやソーシャルコマース、CtoCにも注力するという。
楽天の全体業績は売上高が同15.5%増の1兆6817億5700万円、営業損益は1947億2600万円の損失(前期は1510億1600万円の営業損失)、当期損益は1338億2800万円の損失(同1141億9900万円の損失)だった。モバイル事業の投資がかさみ、過去最大の赤字を計上している。
楽天グループ 21年12月期/EC流通が5兆円突破/UX改善や物流強化を推進 (2022年2月17日号)
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