楽天グループ(楽天)は1月27日、「楽天市場」出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス」をリアルとオンラインで開催した。三木谷浩史社長は「(国内EC流通総額)10兆円への道」をテーマに講演。「国内EC流通総額10兆円を)を前倒して達成できる」と自信をあらわにした。
「現状の日本のEC化率8.1%もいずれ20%に到達するであろう。マーケットサイズは2.5倍になる。楽天が目指している国内EC流通総額10兆円は、目標の2030年を待たずしてもっと早く実現できるのではないかと考えている」(三木谷社長)と話した。
■購入額が1.7倍に
三木谷社長は楽天が注力するモバイル事業とのシナジーについても説明した。すでに楽天エコシステムの新規加入者の約20%が楽天モバイル経由となっている。新規ユーザーの獲得に楽天モバイルが大きく貢献している。
「楽天モバイルに加入したユーザーは、『楽天市場』の年間購入額が1.7倍になる。楽天モバイルの加入者は現在約500万人だが、これが1000万人、2000万人と増えればおのずと皆さんの流通総額は爆発的に伸びていく」(同)と話した。
楽天モバイルユーザーの約60%は恒常的に「楽天市場」で購入しており、他のキャリアと比べ、ECサービスとのクロスユース率は圧倒的に高いという。
■ポイントや販促強化
SPU(スーパーポイントアッププログラム)の利用者数は、年平均28%増で増え続けている。ショッピングのエンタメ性を高める施策として、ポイントプログラムの存在が大きいという。
他にもショッピングSNS「ROOM(ルーム)」経由の購入者数が2年間で2.5倍になっていることや、ライブコマースに注力することを説いた。
「ライブビデオを使ったショッピング、コマース、プロモーションがどんどん大きくなっていく。米国でも4兆円くらいのマーケットになっている。日本でも普及していくだろう」(同)と話す。楽天は店舗の効率的な運用やサービスの最適化を支援するためのテクノロジーの開発に注力している。
「価格と在庫の最適化エンジン『PIOP(ピオップ)』はすでに約200店舗に使っていただいている。売り上げ予算に対して、どのくらい在庫を入れたらいいのか、どのくらいの価格にしたらいいのか、ということをAIが自動的に算出してくれる」(同)と説明する。
物流では、ドローンやUGV(自動配送ロボット)の活用を実験的に行っている。三木谷社長は「規制も多かったが、国も前向きにやっていこうということなので、コスト的にも実現可能性が高まっている」と見ている。
■赤いロゴが緑に
楽天は社会的プラットフォームとしての存在感を高めており、率先してサステナビリティー施策に注力するという。
「サステナブルへの消費者の関心はすでに高い。購入経験があったり、購入経験はないが興味があるという人は、すでに全体の81%に達している。この状況を考えると多少価格がアップしても、サステナブルに向かっていくという姿勢が店舗や商品のファンを増やしていく時代に突入したのだと思う」(同)と分析する。
サステナブルへの関心の高さを背景に「EARTH MALL with Rakuten(アースモール・ウィズ・ラクテン)」のアクセス数は前年同期比約4.5倍と伸びている。流通総額も同約4倍と拡大している。現在は約12万7000点のサステナブル商品をそろえているが、今後さらに増えそうだ。
楽天は今年25周年を迎える。25周年記念のロゴはクリムゾンレッド一色ではなく、サステナブルへの取り組みを表したグリーンを配したという。
楽天/「10兆円への道」を講演/三木谷社長が新春カンファに登壇 (2022年2月3日号)
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