【EC売り方研究所】〈各社が取り組むライフタイムバリュー施策〉/「体験」通してリピート促す

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チョコレートデザインのチョコレート作り体験の様子

チョコレートデザインのチョコレート作り体験の様子

顧客のライフタイムバリュー(LTV)を上げるための施策として、社員と顧客が触れ合うリアルイベントなどを提供している企業が増えてきた。国産家具を製造販売するトイロ(本社広島県)は、オリジナル家具の魅力を伝えるツアーを企画して顧客のリピートを促進。芋を使ったスイーツをネット販売する、おいもや(本社静岡県)は、芋ほり企画を開催して商品への理解を深めている。顧客のファン化を促す手法として、こうした「体験」の場が重要性を増しているようだ。

「体験」でリピート促進

 家具のECサイト「家具の里」を運営するトイロ(本社広島県)は11年から、親子で学習机の製造を体験できるツアー「つくえ、つくろう。」を開催している。参加した親子は木材の生産地を見学し、製造過程を体験。その様子をサイトで発信することで、国産ひのきを使った商品の魅力や、こだわりの製法を効果的に伝えている。14年は6組、15年は3組の親子が参加した。
 昨年のツアー参加者の1人は、雑貨を目当てに同社のサイトを利用していたが、家具にも興味を持ち、体験ツアーに参加したという。これをきっかけに、家具と雑貨の両方を購入するリピート顧客となった。
 カモミール製品の通販と卸事業を行うカミツレ研究所(本社東京都)も、体験イベントを活用している。
 88年から年1回、自社で保有するカモミール畑で収穫や定植を体験できるイベント「カミツレ花まつり」を開催している。15年は2日間で約1500人が参加した。体験を通して、事業内容を知ってもらうことで顧客の信頼を獲得し、リピートにつなげるのが狙いだ。


多様な層との接点作り

 より広い顧客層にリーチするために、体験イベントを一新した企業もある。
 国内産さつまいもを使った芋スイーツをネット通販展開する、おいもや(本社静岡県)は04年から年1回のペースで、「芋ほり」企画を開催。14年までは、ロイヤル顧客をメーンに10~20組を招き、芋ほり体験やバーべキューなどのレクリエーションを行っていた。
 昨年からは、イベントの名称を「芋フェス」に変更。より多様な層の参加を促すため、チケットを一般販売に切り替えた。参加者は約200人と大幅に増加した。芋ほり、焼き芋作り、干しイモの製造過程見学など、体験内容も充実させた。
 体験ツアーを刷新したことにより、「子どもからシニア世代、近隣の人、遠方の人、幅広い層に店を知ってもらうことができた」(EC事業部)としている。

(続きは日本ネット経済新聞 2月18日号で)

おいもやの体験型イベント「芋フェス」の様子

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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