アマゾンはかねてから、独自配送網の強化に注力しています。最近でも、配送拠点の新設や新たな配送サービスの展開など、さまざまな目立った動きが見られます。今回は、消費者・事業者の両方の顧客の囲い込みに向けて、独自配送網を強化するアマゾンの、最近の動向や狙いについて解説します。
■自社配送サービスへの囲い込み
米アマゾンでは、今年10月から、「セラーフルフィルドプライム」の手数料を2%アップすると発表しました。セラーフルフィルドプライムは、日本の「マケプレプライム」と同様のサービスです。
一定の条件を満たす場合には、出品者が独自に出荷する方法で発送を行っても、「プライム対象商品」としてプライムマークを付けて販売することができるというプログラムです。
このプログラムでは、アマゾンの倉庫に商品を保管しませんから、配送代行手数料や保管手数料などは発生しません。アマゾンの独自配送網を利用した配送でもありません。アマゾンとしては今回、セラーフルフィルドプライムの手数料を2%アップすることにより、自社配送サービス「FBA(フルフィルメントbyAmazon」への移行を促し、囲い込みを図る狙いがあると考えられます。
FBAは、消費者にとって利便性が高いため、アマゾンとしてはその利用率を高めたいと考えているのでしょう。米国と同様に、日本の「マケプレプライム」についても同様の値上げが行われる可能性は十分にあるでしょう。
日本の動向に目を移してもやはり、独自配送網の強化に向けたさまざまな展開が目に付きます。今年だけで、デリバリーステーションを日本全国に11カ所新設しました。デリバリーステーションは現在、全国で50カ所以上となりました。
フルフィルメントセンターも2カ所を新設しましたから、全国で25カ所以上となりました。
さらに今年9月には、品川に日本初となるソートセンターも新設しました。ソートセンターはデリバリーステーションとフルフィルメントセンターの中間に位置する拠点で、より効率的な配送を実現するものとなります。
このように、独自配送網を強化する動きは、今後も進んでいきそうです。より便利になる、アマゾンの配送サービスへの囲い込みが今後も加速していくことでしょう。
■物流会社としても消費者の囲い込み
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月5日号で)
<著者プロフィール>
比良益章(ひら・ますあき)
2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。
【気になる動向を徹底分析! AMAZONレポート】第16回 独自配送網の強化で顧客を囲い込むアマゾン(2023年10月5日号)
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