アマゾンが顧客の囲い込み戦略を強化しています。出品者に向けては、メールマーケティングやデータ分析の新機能を次々と発表しています。10月に日本で開催された「アマゾンECサミット」でも、新機能の発表が行われました。今回はアマゾンが発表した新機能と、今後の動向について解説します。
■メールマーケティングの新機能
米アマゾンは今年9月、広告配信の新機能「テーラードオーディエンス」を発表しました。これは特定の顧客に対して、メールによるターゲティング広告を配信することができる機能です。
例えば、過去1年以内に商品を購入した顧客に対して、「2回以上購入したリピート顧客」「支出額が多い顧客」「最近購入した顧客」─の三つにセグメントして、それぞれに、ターゲティングメールを配信することができます。
現在のところ、配信できるメッセージの内容は、用意されたテンプレートだけになっています。ただ、新製品について通知したり、再購入を促したりすることができますから、出品者にとって自由度が高くなったのは間違いありません。
アマゾンは今後、メールのテンプレートを改善するなど、メッセージのデザイン機能も強化していくようです。出品者がよりブランディングをしやすくするのが目的です。
なお、米国のアマゾンは21年から、「カスタマーエンゲージメント管理プログラム」という機能の提供も開始しています。これは、顧客がアマゾン内の特定のブランドをフォローすることができる機能です。
この機能を使えば、ブランドはフォローしてくれた顧客に対して、テンプレートではありますが、新商品の通知や、セールの案内を、メールで配信することができます。
アマゾンはこれまで、出品者と顧客のやり取りを必要最小限にとどめていました。ただ、昨年から、双方向のやり取りを徐々に緩和する動きが見られています。
どちらの機能も現時点では、日本ではまだ開始されておりませんが、来年などの早い段階で、日本でも展開されると考えています。
■データ分析の新機能
(続きは、「日本ネット経済新聞」11月24日号で)
〈著者プロフィール〉
比良益章(ひら・ますあき)
2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。
【気になる動向を徹底分析! Amazonレポート】第13回 顧客の囲い込み機能を強化するアマゾン(2022年11月24日号)
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。