【EC売り方研究所】EC企業の商品価格対策 実践編 /効果的な価格調査・変更で月商3倍の事例も

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日本ネット経済新聞が8月に実施した、「EC企業の商品価格に関する意識調査」では、回答企業の62%が競合店舗の価格調査を実施していたことがわかった。ただ、価格調査の頻度や、価格変更に対する取り組みはさまざまだった。価格調査・変更を効果的に行うことにより、月商が3倍に拡大したEC企業もあるという。価格調査・変更を〝売り上げ拡大〟や〝利益の確保〟に生かしているEC企業の取り組みを紹介する。

■価格変動の頻度を知る

 自動価格調査・更新システム「プライスサーチ」を300社以上に提供しているバリュース(本社東京都)の管野敦夫社長は、「多くのEC企業は自社商品の価格がEC市場において、どのくらいの頻度で変動しているのかを把握していない。これは大きな機会損失につながる可能性がある」と指摘する。
 本紙の調査では、6割超のEC企業が競合店の価格調査をしていた。ただ、「価格調査の頻度」を尋ねた質問では、「毎日」と答えた企業は全体の26・7%にとどまった。多くの企業が不定期に競合店の価格を調査しているようだった。
 商品価格への意識が高い家電業界では、多くの企業が毎日のように価格調査を実施しており、調査結果に合わせて価格を変更している。ただ、家電以外の業界では、そこまで価格調査への意識は高まっていないようだ。
 「月に1度しか価格調整を行わないEC企業の取扱商品の価格が、週1回のペースで変動しているとしたら、1カ月のうち3週間もEC市場の相場に見合わない価格を提示していることになる」(同)と話す。

■価格調整で売上が安定

 バイク用品を取り扱うEC企業は、「プライスサーチ」を導入し、価格調査・変更を日常的に実施するようにしたことにより、売り上げ変動の波がなくなったという。
 この企業では「プライスサーチ」導入前、社員3人が交互に競合店の商品価格調査を実施していた。EC事業の責任者は、「毎日価格を調査しろ」と社員に命じていたが、社員は他の業務にも追われていたため、2~3日に1度のペースでしか価格を調査できていなかったという。
 「プライスサーチ」の導入後は、価格調査を毎日実施するようになった。同システムの自動価格調査機能を活用することにより、競合店の価格変更に合わせて、価格を調整するなど取り組みを進めた結果、社員のマンパワーを割くことなく、売り上げを安定化させることができるようになった。さらに、売り逃しを防ぐことができるようになったため、導入前に比べ売り上げが拡大した。
 価格変動の頻度が高い業界(家電、ペット、DIY工具、カー・バイク、美容)では、「プライスサーチ」導入の成果が、特にはっきりと表れたという。
 ある大手家電量販店は「プライスサーチ」を導入し、ECサイトの価格調査・変更を毎日実施。この取り組みにより、同社のECサイトの月商は導入前の3倍に拡大したという。

■利益確保にもつながる

 今回の調査では、「価格調整を行うメリットは?」という質問に対して、回答企業の4割が「利益を確保するため」と答えた。
 バリュースの菅野社長も「価格調整は、売り上げを伸ばすのに役立つだけでなく、適正な値付けにもつながる」と話す。同氏は、「手動で価格調整を行っている企業の方が安く値付けしすぎる傾向にある。価格調整を頻繁に行わないため、競合店を意識しすぎて、安めの値付けになってしまうのだろう」と指摘する。

■8時間の業務が0分に

 「プライスサーチ」は業務の効率化にも役立つという。
 あるEC企業は、自社で取り扱う20品目の価格調査に、約8時間かけていた。「プライスサーチ」では設定した店舗の価格を自動調査し、表示してくれるため、価格調査の時間を削減できる。
 さらに、競合店の価格に合わせた価格調整を自動化する機能もあるため、価格更新作業の手間も省くことが可能だ。
 「まずは自社の取扱商品の価格がEC市場においてどのくらいの頻度で変動しているのかを把握することが重要だ。『プライスサーチ』は無料体験も提供しており、コストをかけずに調べることができる」(菅野社長)と話す。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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