【こだわりの逸品を全国展開 特産品EC】第105回 〈黒ごま油・その他油専門ECサイト「鹿北製油」〉/健康に良い油が注目 認知度・売上アップに

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和田久輝氏

和田久輝氏

古くからなたね油、ごま油などの生産が盛んであった鹿児島県。「鹿北製油」社長の和田久輝氏は、「石臼式玉締め法」という昔ながらの搾油法を復活させ、国産原料による「黒ごま油」「アーモンド油」など、今までなかった商品開発に力を注ぎ、こだわりの逸品を生み出している。その取り組みや、メディア~ネット販売を通した広がりについて聞いた。

◆挑戦・こだわり

 鹿児島県はかつて、なたねの生産量日本一だったが、輸入品などの影響で激減。しかし、昭和24年よりなたね油専門工場として製造・販売してきた「鹿北製油」では、この地の伝統を守り、再び生産量を増やしていくため、さまざまな挑戦を行っている。
 「なたね油に加え、明治時代~昭和30年代の『石臼式玉締め法』で白ごまではなく黒ごま油を製造したいと思いました。白ごまに比べて黒ごまは油分が少ないですが、ゴマリグナンやビタミン、ミネラルが非常に豊富だと知り、世界で初めてとなる黒ごま油づくりに挑戦しました。昔ながらの方法でじっくりと搾油し、精製も熱処理や薬品処理はせず、7日間の時を経て手すき和紙でろ過するだけ。そして無添加。油の香りと味が生きている〝生の油〟です」
 また、自社農園のほか、地元・湧水町、鹿児島県、宮崎県の協力でアーモンドの木約2000本を植え、昨年、日本初の国産アーモンド油が誕生した。
 「国産のアーモンド油で、6次産業化と耕作放棄地の解消になればと思い、始めました。アーモンドの花はとてもキレイで驚きました。商品の評判は上々で、昨年発売したものはすべて完売しました」


◆客層・売れ行き

 最近、えごま油など健康に良い油が注目され、メディアで紹介されたことで認知度・売り上げアップにつながっているという。
 「今年2月、『林修の今でしょ!講座』で当社の『えごま油』と『石臼式玉締め法』の搾油の様子が放送され、売り上げが前月比140%になりました。また、前年比も110%と伸びています。購入されたお客さまからは、さまざまな持病が良くなったという声を多くいただきます。若い女性から年配の方まで客層は幅広く、リピーターは約50%、約95%がご自宅用に購入されています」


◆今後

 工場移転を機に、敷地内にごまや椿、アーモンドを植え、景観をいかした公園を開放するという事業計画も打ち出している。
 「黒ごま油やアーモンド油づくりへの挑戦という夢と目標を見つけられたのは、私自身とても幸せなことだと思います。今後はさらに、20~30年かけて植栽し、国産の原料によるこだわりの油を作っていきたいです。ネットショップでは、今年の冬、『日本の食用油石臼搾り』(なたね油、椿油、黒ごま油、えごま油、幻のかやの実油の5点、各100グラム、1万円)を200セット限定販売する予定です」


〈運営会社概要〉
【運営】有限会社 鹿北製油
【開設時期】2010年4月
【スタッフ数】2人
【ショップ形態】自社ショップ
【導入システム】なし
【配送委託先】ヤマト運輸、佐川急便
 ※ネットショップ向けの卸については応相談

手間暇かけて作り上げた”生の油”「鹿児島県産 黒ごま油」

黒ごま油と同様の製法による「国産 えごま油」も話題

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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