cottaの黒須綾希子・現社長が取締役に就任したのは2016年。そのころには、黒須氏自らが人材を集めた専門チーム『TUKURU(ツクル)』の貢献もあり、cottaサイトを介した売り上げは、総売上高の半分以上を占めるに至っていた。
取締役就任の後、だんだんと父であり、社長の佐藤成一氏の攻勢が始まった。「新しい時代に対応するには社長交代が必要だ。早くお前が社長になれ」。
だが黒須氏の口をついて出てくるのは、「まだ私には無理。しかも子育ての真最中だし、あと二人は子どもが欲しいの。子育てと会社経営の両立は無理よ」と、のらりくらり。ではなぜ、黒須氏は19年9月期決算後に「社長就任」を承諾したのか。取材時の黒須氏の言に、こんなドキュメントを感じた。
「取締役として経営の一環に携わるうちに、父の口癖だった『会社は社員が豊かで穏やかな人生を送るために存続する。利益や事業拡大は、その手段にすぎない』に、日々共感を強めていった」
「父の『時代の変化に応じて、世代交代が必要』という思いは適格だと思うようになっていった」
その一方で、「『経営者、それもトップとして事業展開を進める以上、生半可ではできない』という気持ちが膨らんでいった」と言う。
(続きは、「日本ネット経済新聞」4月29日・5月6日合併号で)
【著者プロフィール】
千葉明(ちば・あきら)氏
1949年群馬県生まれ。明治大学政経学部卒業後、1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。
【次代を担う企業の「EC戦略」】第22回〈cotta(下)〉 「中期5カ年計画」に沿い、先行投資重視の経営を展開
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