【米国のEC 最新動向】〈連載第1回〉 オムニが企業生存の必須条件に

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オムニチャネルの現状などが示された

6月2~6日にかけて、世界最大級のEコマース(EC)イベント「IRCE」が米国のシカゴで開催され、IRCEの日本代表パートナーである株式会社いつも.のコンサルタントが私を含めて4人、参加しました。
 この連載では、IRCEで公開された米国ECの最新動向や「オムニチャネル」の先進事例を紹介するとともに、今後「オムニチャネル」にどのように取り組めばいいかについて解説したいと思います。
 まずは、米国の小売業トップ500社のECの動向について共有がありましたので、紹介しましょう。
 米国も日本と同様にEC市場は前年比15%以上の伸び率で推移し、実店舗を合わせた売上高の前年比(3%)に比べても、成長率の高さがうかがえます。
 さらに注目すべきは、ECを除く無店舗販売(カタログ専門通販など)が初のマイナス成長(5・8%減)となり、実店舗とECの両方を持つこと=「オムニチャネル化」が、企業が生き残るための必須条件となっている点です。
 このトレンドは、日本でもおおむね同じことが言えると思います。当社でも小売業や日本のEC企業の伸び率などをウォッチしていますが、いわゆる「EC専業店」「カタログ型総合通販」企業の成長率が鈍化してきています。
 一方で実店舗を持つ企業のEC売上高は前年比15~20%で伸びていることが確認できています。日本でも「オムニチャネル」への対応は必須の流れになるでしょう。
 今回のIRCEのメーンセミナーの一つ、ディスカウントチェーンストアを運営するTarget(ターゲット)社の講演内容は大変興味深いものでした。
 同社は、全米で1800店を構え、ディスカウントチェーンストアでは米国で2位の規模を誇ります。ECの年間売上高は約3500億円で前年比30%増、全社売上高に占める割合も4%程度まで伸ばし、企業成長の原動力となっています。
 その講演で当社として注目したキーワードが「投資先の変化」「資産の有効活用」です。
 ターゲット社は、店舗から配送できる仕組み(フルフィルメントセンター化)や、Wi―fiやiPadの設置などを含めたITやEC分野への投資を大幅に増やし、全体の投資の約50%まで高め、一方で新規出店やリニューアルへの投資は減らしています。
 また、大型で高額のイスやテーブルなどを店頭で展示のみにして「無在庫」で販売する取り組みを行っています。在庫という「資産」を持つのではなく、無在庫での受注・配送の仕組みを持つことで、会社として「資産の有効活用(資産効率アップ)」を目指しています。
 このような取り組みの事例から見ても、「オムニチャネル」は、顧客の利便性の向上/囲い込みという視点だけではなく、企業全体として中長期的にライバル企業に勝ち抜くために、どのように対処していくかという「企業戦略」になっていることを実感しました。

 なお、本連載の内容も含め、7月30日(木)に米国視察報告「オムニチャネル近未来予測セミナー」を実施する予定です。



〈執筆者 略歴〉
株式会社いつも.
 コンサルティング事業部事業部長兼海外事業推進責任者
 高木修(たかぎ・おさむ)
 上場会社、東証1部上場コンサルタント会社を経て、株式会社いつも.に入社。EC事業拡大のコンサルティングを手掛けるとともに、年商10億円突破の成功プログラムを多数開発した。EC支援部隊約40人を統率する。米国在住経験もあり、海外のECモデルにも精通。最低年2回は米国視察を行い、米国の小売りおよびECの最新動向を収集、日本での活用を提案している。IRCEには3年連続で参加し、イベントで共有される経年変化も捉えている。今年は1月にニューヨーク開催の小売業向けイベント(NRF)に続いて2回目の訪米となる。

6月に米国・シカゴで開催されたIRCE

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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