【EC注目株!】第39回〈弁護士ドットコム〉 時代の変遷の中、元榮社長が誕生させた「マッチングサイト」/時価は2000円台前半 難点は浮動玉の少なさ

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千葉明氏

千葉明氏

弁護士ドットコム(6027)が展開するサイトは自らをアピールしたい弁護士と、抱える法的問題を解決したいと考える相談者のいわゆる「マッチングサイト」。
 創業者社長の元榮(もとえ)太一郎氏がサイトを立ち上げたのは、2005年8月。元榮社長は、「弁護士事務所で弁護士活動をするうちに、法律トラブルで困っている人たちの目線で弁護士を探すことができるようなシステムができないものかという思いが日増しに募っていった。そうこうするうちに『これだ!』とピンときたのが、引っ越し業者の見積もり比較サイトだった」と起業の契機を振り返っている。
 展開中の弁護士ドットコム「サイト」の枠組みは、こんな具合だ。
 (1)登録弁護士=上場(14年12月)時点の登録弁護士数は、約8000人。得手とする分野、および料金体系表や対応が可能な地域などを掲載することができる。ちなみに得意とする範囲が1分野の場合は登録料2万円(月額)、3分野は3万円、8分野で5万円。「国内の弁護士約3万6000人の4人に1人に当たる約8000人が登録しているため、あらゆる分野への対応が可能になっています」(管理部)と言う。
 (2)ユーザー=法的トラブルの解決を望む人は、同様のトラブルで弁護士に相談した他のユーザーへの回答を閲覧することが可能。モバイル端末で閲覧する場合、費用は月額税込324円。
 (3)閲覧して納得した回答に出会った場合、回答人弁護士に対しサイト上で接点を持つことが可能。
 弁護士ドットコムは06年時点から、「税理士ドットコム」も立ち上げている。
 需要増から弁護士ドットコム実装済みの各種コンテンツを税理士ドットコムにも導入、育成のスピードを速めている。
 00年の規定見直しで「士業」8職種の広告が原則自由化。弁護士ドットコムは、時代の変遷の中で元榮社長の起業家スピリットが誕生させた。元榮社長は「弁護士時代にベンチャー企業のM&A案件に携わり、起業家の新しい価値を創造するダイナミズムに大きな刺激を受けた」としている。
 同社は14年12月12日に初値3880円で株式市場にデビューの新参組。
 12月15日に4120円まで買い進まれた後、公開人気一段落で利益確定売りに今年1月16日の2042円まで調整。その後出直り3月12日の3060円までつけ、時価は2000円台前半の調整場面。難点は浮動玉の少なさ。「株式分割が早々スケジュール化されよう」とする見方が強まっている。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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