【EC注目株!】第37回〈オークファン〉 07年設立のベンチャー企業 5期間の平均営業増益率は47%余りに/新たな成長期入りの期待に中長期構えで

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2013年4月上場のオークファン(3674、9月期決算)に、確かな成長性を感じる。
 同社は「aucfan.com」「aucfan pro」を主軸にオークション関連の五つのサイトを運営している。前者はヤフーや楽天市場などに出店する(される)商品の、相場検索・価格比較・(売買)分析サービスを提供するサイト。後者は、出店者の売り上げ増を支援するサイトである。オークファンの武器は、オークション商品や価格情報の内外データを約200億件保有している点に求められる。
 07年6月に設立されたユニークな着眼の若いベンチャー企業だが、10年9月期には営業利益を計上するに至っている。後述する前向きな減益となる15年9月期の計画を含め、5期間の平均営業増益率は47%余り。連結決算へ移行の今期は、要員確保に伴う人件費拡大、広告費増、データ拡充の収集負担増で増収・減益だが、更なる果実を得るための先行投資負担によるもの。四季報は来期について「早々に営業増益回復基調(今期比50%増)」を独自予想している。
 収入の枠組みは有料会員への課金と、サイト上の広告収入。前9月期は課金収入4億5500万円、広告収入2億5000万円。ちなみにオークファンのサイトへのビジターは約858万人。
 EC界のベンチャー企業・オークファンに対する投資姿勢は、そのビジネス内容を理解し成長性を確信する向きには「しばらく株価を追わず、時価買い・中長期構え」と箴言したい。この間の株価動向は、次の通りである。
 公開公募価格2600円に対し、初値は1万480円。当然の利益確定売りで、6990円まで下落も直後から買い直しが顕著となり2万500円まで再急伸。そして利食い・調整が進む過程で、13年9月26日を発効日とする1対5の株式分割が実行された。9月25日の終値1万3500円に対し26日の始値は2750円、分割後理論値+αの再出発となった。
 そして4340円まで上昇後、1635円まで調整し2555円まで戻すも再調整入り。以降「利食い先行」基調で今年2月には801円まで下げ、底打ち状態へ。時価は800円前半水準。
 僅かな買い・売りでも上昇・反落幅の大きさは上場間もない小型株の宿命。覚悟しなくてはならない。しかし成長性を伴う限り、中期的に株価は収斂される。その域を迎えたとみる。株価の動きに一喜一憂せず、新たな成長期入りの期待に中長期構えで「時価×2倍」を視野に臨む価値ありと捉える。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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