【ネットが拓く〈リテンションの時代〉】連載第31回 マーケの概念が変化

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■データで事前に分かる時代

 令和元年は、おめでたい行事や深刻な出来事が続けて起こった年だった。大きく動いた元年を終え、令和2年の幕が明けた。今年はオリンピック・パラリンピックも開催され、楽しみな半面、大きな変化があるのではと少々気をもんでいる。
 個人的には、マーケティングに関して概念が変化するのではと思っている。その一つがリテンションマーケティング協会と共同研究している、日本消費者行動研究学会の指導教授から、目からうろこの話を聞いたことである。
 昨年から本コーナーでもGDPR、SDGsの影響で、ネットマーケティングやマーケティングの手法と概念が大きく転換すると書いてきた。だが、今回の話はもう一つ違う側面からの話である。
 話の内容はこうだ。今までのマーケティングは、まずSTPを考え、次いで4Pを検討していき、5W1Hを設定し、最終的なマーケティング戦略を立案してきた。
 しかし、21世紀に入ってからITの驚異的な発達、Web環境の普及と拡大、やがては2025年のDX、そしてシンギュラリティーと矢継ぎ早の変化が起こり、将来も変化が継続していくと予測されている。
 この流れの中で、デジタルで分かることが膨大に増加し、データ解析でターゲットが明確に規定できるようになってきた。購入者のデモグラフィック特性や購入履歴等も判明し、それをAIが分析するということが可能となる。
 つまり、STP/4P/5W1Hは、人間の頭脳で考える前にデータで分かってしまう。それは同時に、流行しているカスタマージャーニーも不要のものになるということである。
 購入履歴をビッグデータで解析し、優良顧客像が明確になれば、その顧客に似た顧客を捕まえればいいのだから。簡単に言えば「いつか来た道」をもう一度歩くという方法である。その歩く道筋がカスタマージャーニーそのものである。


■従来の当たり前を超えていく時代

 もう一つ驚いた話がある。弊協会が実施している毎月のセミナーの中で、講師が「ニーズを生み、育てることがビジネスのベース」と語っていた。今までのマーケティングでは、「ニーズは見つけるもの」といわれてきたからである。

(続きは、「日本ネット経済新聞」1月16日号で)

〈プロフィール〉
伊藤 博永(いとう・ひろなが)
 1993年3月、旭通信社(現ADK)入社。2001年4月、価値総研取締役、09年4月、ADKダイアログ代表取締役、15年9月、日本リテンション・マーケティング協会理事、18年4月、日本リテンション・マーケティング協会監事(現任)。
 筆者に関する問い合わせは、一般社団法人日本リテンション・マーケティング協会事務局((電)=03―6910―4644)まで。http://j-rma.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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