CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)に特化した団体が発足、6月から本格的に活動を開始する。一般社団法人日本通販CRM協会(事務局東京都、向徹代表理事)は5月14日、都内で設立記念レセプションを開催した。協会が取り組むのは、CRMという概念の定義付けほか、CRMの研究や分析など。その一環として月間でセミナーを開催するほか、7月から委員会活動を始める。ただCRM自体、本来それぞれの企業が独自に、個々の顧客に対して実施していくことで顧客との関係性を構築・維持していくものと考えられる。協会活動を通じてどのようなCRMに関するノウハウが得られるのか、不透明な印象も拭い切れない。
EC・通販CRMの研究・分析も
同協会は今年1月に発足、6月から活動を開始する。協会設立の役割として掲げているのは、(1)EC・通販CRMの定義付け(2)EC・通販CRMの研究・分析─などにより、消費者にとって快適なEC・通販業界へつなげるというもの。
確かに、CRMという言葉や概念は企業によって受け止め方はさまざまで、CRMのことを「定期顧客への引き上げ」「顧客満足度の向上」などの意味で使っている事業者も少なくない。
同協会はCRMを「顧客との関係値構築により、顧客満足度を向上させ長期的に良好な関係を維持・強化していく経営手法」と定義している。
向代表理事によると、協会設立の発案者は自身だと説明する。向氏はEC事業者を対象にCRMによるマーケティング事業を手掛けるイーグラントの代表を務める。
本業を通じてEC事業者から、「CRMで顧客との関係を構築したいが、ノウハウやデータをどのようにして勉強していいか分からない」との声を聞いていたという。
そうした現場の声をきっかけに向氏が協会設立を発案。同協会の理事を務めるRyo―MA(リョーマ)の小林亮介社長や、シーピーユーの米田哲郎社長と話し合いを重ねたという。
さらに、やずやのグループ企業である未来館の西野博通社長に相談したところ、「通販業界としてCRMの発展が必要」と後押しを受け、ダイレクトマーケティンググループの藏内淑行常務の賛同を得て設立したという。
従来、サイトを通じて集客を図ってきたEC事業者も昨年あたりから、CRMという手法を意識し始めている。その理由は1件のコンバージョンを獲得する広告コストのCPAが上昇してきているからだ。
CPAが上昇する以前であれば、それまで獲得したメールアドレスを利用しなくても、売り上げや集客につなげることはできた。しかし、CPAの上昇によって、既存顧客によるリピート注文を獲得する一環として、CRMという手法に着目し始めたわけだ。
(続きは日本ネット経済新聞 5月21日号で)
【EC売り方研究所】〈CRMに特化した団体が発足〉/概念を定義付け、月間でセミナー開催
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