■USPがカギ
商品が次々と登場する単品リピート通販の業界では、他社との差別化が非常に難しくなってきています。さまざまな広告を打ったり、後続商品を次々に出したりしても、企画も商品も短命に終わってしまう傾向にあります。
こういった状況のなかでやらなければならないことは、やはり「ブランディング」です。商品の価値を見直し、顧客にどのように伝えていくのかを構築しなければ、勝ち抜くことは厳しくなっています。
しかし、「ブランディングについてはいろいろ考えてはいるが、なかなか打開策を見出せない」と悩む企業も多いのではないでしょうか。
そこで、ブランディングに強いこだわりを持ち、成功を収めている通販企業をひとつご紹介します。今となっては知らない人はいないであろうプロアクティブです。
プロアクティブはニキビケアのスキンケアアイテムに特化して、商品パッケージもメディカリーなイメージで作っています。そして、イメージ以上に消費者にインパクトを与えたのが、「全額返金保証」というキャッチコピーでした。同社は、商品に絶対的な自信を持っており、「全額返金保証」は、その価値を伝えるための最適なコピーとなりました。現在では、多くの企業が返品保証をうたっていますが、最初に大きく打ち出した企業がプロアクティブだったのです。
このように、自社の強みや売り、それらを提案していくことをUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)といいます。要は、「御社の商品をひとことで言うと何ですか」という質問の答えがUSPといえるでしょう。しかし、その問いにすぐに回答できる企業は意外と多くありません。このUSPをブラッシュアップしていくことで、ブランド価値を伝えるためのより良いコピーや広告も作成できるのです。
■3つのCS
USPをブラッシュアップしていくためには、CRM(顧客関係管理)を見直していく必要があります。そのプロセスに、カスタマーサクセス(CS)活動があり、それらによって顧客満足を最大化していきます。
カスタマーサクセス(CS)には、三つの役割があります。商品CS、機能CS、アフターCS。この三角形を大きくしていくことが顧客満足の最大化につながります。どのCSに力を入れるかで、三角形の形はさまざま変わりますが、それが各企業の特徴になります。
ちなみに、機能CSとは企業の価値を追求する活動のことです。このなかには価格も含まれます。「価格以上の価値」を追求することで、コストパフォーマンスの良い商品として顧客に支持されることになります。
また、メンタリティーの側面での価値もあるでしょう。たとえば、その商品を買うことで心が満たされる、優越感にひたれる、あるいは入手困難な商品である、といったことです。
このようにして、CSの三角形の最大化をめざし、こだわりのある自社の売りをしっかりと設定することが、売れ続けるリピート通販に重要なことです。
〈筆者プロフィール〉
1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。入社後すぐに売り上げナンバーワンを記録。その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
09年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。
【リピートEC 成功の秘訣「真の顧客満足向上とは」】第14回 強みを整理して顧客満足を最大化
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。