【EC注目株!】第35回〈カカクコム〉 「連続最高益」の業績推移で進化継続中/荒い値動きは覚悟の上で中期構えで待ちたい

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進化を止めたら、その時点で高原状態入り。待ち受けるのは衰退期入り。企業経営の難しいけれど「大鉄則」だ。カカクコム(2371)はその意味で進化継続中。四季報(春号)業績欄の見出しは【連続最高益】。
 同社は、「価格.com(有形無形の商品価格サイト)」「食べログ(ランキングとクチコミのグルメサイト)」などのネットサイトの運営を展開している。進化継続中は、例えば前者なら今期から「実店舗の店頭情報が閲覧できる/オンラインtoオフィスライン」を導入、後者なら「スマホでレストランランクの閲覧可能」が可能に、といった具合だ。
 収入源は、掲載情報を発信する企業が訴求したい情報(商品)の販売代理手数料。絶好調は、今期計画49%台という営業利益率や、今期予想を含む1株当たり利益の5期間の平均伸び率32・16%に顕著。今期も中間期時点で通期予想を上方修正した。第3四半期実績の上方修正後の通期利益に対する進捗率は、それぞれ「72%」。「食い足りない」という向きは、年末・年始の歳暮や忘年会・新年会に「賢い奥方・賢い幹事」と評価されるために価格.com・食べログは強い味方となることに気付くべき。本決算の上振れ期待は十分。収益に関して付け加えるなら、規模はともかくファイナンス事業(仰々しい名称だが)の伸長が著しい。要するに生損保の保険代理販売業務。4―12月期実績で、前年同期比14・5%の増収/211%強の営業増益となっている。
 無借金企業のカカクコム株とは、「じっくり取り組みたい」が私の結論。13年に2回、各1対2の株式分割を行っている。2度目(分割発効日8月28日:終値1784円)以降の値動きは、9月27日の2354円(分割勘案後調整値の一昨年来高値)まで伸長。14年5月の1355円まで十分に日柄・値幅調整。12月に1914円まで買い直されるも、今年に入り1580円まで再調整。その後切り返し基調に転じ、2178円(1月21日)まで買い戻され、その後2月6日の1612円まで調整。時価は上昇傾向に転じ2000円出入り水準。
 「今期予想を含め5期間のEPSの平均成長率32・16%(*)」と記したが、2354円まで買い戻されても中小型成長株投資の物差し「PEGレシオ(予想PER÷*)」は1・86倍。経験則は「2倍以下は買い余地あり」。中小型成長株の定めともいえる”荒い値動き”は覚悟の上で、中期構えで2354円を待ちたくさせる株である。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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