【ネットショップ 「売れる」デザイン・演出テクニック】連載33 感性と論理の訴求で情報をデザイン

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いよいよ行楽シーズンに突入しました。この時期は紫外線対策グッズやアウトドア商材が動き始めます。4月以降増加する紫外線にスポットを当てると、今月よく動くのが帽子です。
 しかし、洋服とは違い、身長や体型などの分かりやすい表記があるものが少なくサイズが不明瞭。自身のサイズを把握していないことも多く、「○○センチ」と記載してあっても、結局よく分からず離脱してしまうケースが多発します。


直感性と論理性を訴求

 本来なら見込み顧客のはずなのに、与える情報が不明瞭であるがゆえに離脱することは珍しくありません。
 人間の情報理解は「感覚による情報導入」を経て「論理による情報理解」が行われるといわれます。シンプルに言えば、導入部分は感性に基づき、理解に至るには論理性に基づくというものです。
 よくあるケースは美しいキービジュアルで感性を刺激するものの、その商品スペックが不明瞭のために離脱するという事象です。
 家具やアパレル商材の場合は徹底されていますが、食品、ジュエリー、雑貨などは意外にスペック記載が漏れているケースがあります。離脱の原因がここにあることは少なくないです。
 例えば冷凍食品の場合、魅力的な画像と商品説明で情報導入に努める販売者は多いですが、サイズスペックはあまり重要視しないことがあります。
 しかし、消費者は「冷凍庫に入るサイズか」といったシーンを想定して購入判断することも珍しくありません。もっと言えば「今冷凍庫に入っている食材の減り具合と、お届け日までの冷凍庫スペース」まで具体的に考えます。
 すると当然「お届け日」という販売スペック情報も必要ですよね。消費者はそこまで論理的に考えて購入するということを再確認しておきましょう。そこまでやって「おもてなし」といえます。


販路ごとの顧客行動を分析

 一方、アパレル商材が徹底されているとはいえ、各店舗で表現手法が異なります。
 商材の寸法表記のみを行う店舗もあれば、それにとどまらずモデルの身長やスリーサイズを表記して、ユーザーの体型と照らし合わせやすくする店舗もあります。これも「論理による情報理解」といえるでしょう。
 少し話がそれますが、バブル時代のテレビや雑誌広告はモデルに欧米人を起用していましたが、昨今その頻度は大きく減り、自身の体型やライフスタイルに親近感を訴求する等身大モデルの起用が増えました。
 これは当時欧米人モデルを「感覚による情報導入」の目的としていたものが、親近感のあるモデルを起用することで、「論理による情報理解」に目的が変遷したように思えます。
 さて、「感覚による情報導入」を経て「論理による情報理解」と書きましたが、販路によってこのバランスは異なります。
 上述のケースは楽天といった衝動買い市場に顕著な傾向で、アマゾンといった指名買いの場合は最初から「論理による情報理解」に至るため、必ずしも一概ではありませんが、販路の顧客行動を熟知して情報バランスを変えてみてください。
 お客さまは商品と同時に安心を購入します。購入までのプロセスをしっかりと理解し、お客さまをゴールに導きましょう!(月1回掲載)


〈著者プロフィール〉
 長山衛(ながやま・まもる)氏
 某大手食品ECサイトで運営を手掛けた後、08年10月にECサイトの運営代行などを手掛ける株式会社ネットショップ総研を設立。
 11年11月に「食品ネットショップ『10倍』売るための教科書 リピーターを確実に増やす商品プレゼン77のテクニック」(日本実業出版社)を上梓。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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