EC業界で行われている各種アワードの受賞店舗を分析し、集客や売り上げアップのこつを探る「アワード受賞店研究」。第5回はEストアーが実施している「ネットショップ大賞 2014年間」を取り上げる。約1万9000店舗の中から選ばれた71店舗は、14年1~12月における「ショップサーブ」の流通額が平均で前年比19・6%増と好調だった。受賞店舗に共通しているのはユーザー目線を徹底していること。商品力を磨くことはもちろん、顧客の立場でサイトの利便性やサービスを改善している。「ネットショップ大賞2014年間」でトップ3に選ばれた店舗の取り組みを紹介する。
子育て女性がデザインを担当
最高賞の「金賞」を受賞したマタニティーウエア販売のスウィートマミー(本社千葉県)は、顧客から寄せられた意見を商品開発に反映している。
ECサイト「スウィートマミー」は、「らしくない授乳服・マタニティ」をコンセプトに自社で企画・製造した授乳服やマタニティーウエアを販売。おしゃれを楽しみたい妊婦や授乳中の女性のニーズに応えるため、機能性とファッション性を両立した商品を製造している。
商品のデザイナーを務めているのは3人の子どもを育てている女性。商品管理やお客さま窓口、ウェブサイト制作のスタッフの中にも産休明けの女性は多い。
顧客と同じ目線の女性が商品開発や顧客対応を担うことで、消費者目線のネットショップを実現している。
ネット苦手でも使えるサイト
「銀賞」を受賞した三嶋商事(本社大阪府)は、ECサイト「ビースタイル」で介護食や腎臓病食を販売している。
取扱品目数は1500種類以上。商品の特性上、顧客の中にはネットに不慣れな高齢者も多いことから、シンプルで明確なカテゴリーの分類や、商品を探しやすいデザインにすることで顧客の利便性を高めた。
サイト内検索機能は精度が高く、キーワードを入力すると関連ワードも自動的に表示されるため商品を探しやすい。ネットでの注文に抵抗がある顧客には、紙の商品カタログも発行している。
30分以内にメール返信
「銅賞」を受賞したのは景品専門店「幹事さんの味方!景品パーク」を運営しているディースタイル(本社埼玉県)。忘年会や結婚式の二次会などでは急遽、景品が必要になることもある。突発的なニーズに応えるため当日出荷の商品を増やしてきた。
平日午前10時から午後6時まで、メールの問い合わせには30分以内で返答する。そのことをトップページ上部の目立つ位置に掲載するなど、「急いでいる幹事の心理」を考え抜いたサイト作りと店舗運営でファンを増やしている。
〈「ネットショップ大賞2014年間」とは〉
Eストアーが運営している「ショップサーブ」の利用店舗を対象に、14年1~12月における「受注件数」「売り上げ」「成長率」「リピート率」「会員数」の五つの指標に基づいて優秀店を表彰するアワード。
EC売り方研究所】〈アワード受賞店研究「ネットショップ大賞2014年間」編〉/徹底したユーザー目線で売上拡大
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