■表現を提供する
今回は、アフィリエイトの表現と法律の課題、そして攻略法を解説していきます。
まず、アフィリエイトで気になるのが、「広告の表現が景品表示法や薬機法などに触れていないか」という点ではないでしょうか。特に、年商が10億~20億円ほどになってきた企業にとっては、アフィリエイトの表現は悩みどころだと思います。アフィリエイターが、消費者が興味を持つような攻めた表現をしてくれること自体はありがたいのですが、売り上げ規模が拡大するにつれて多くの人の目に触れるようになり、当局のチェックの目も厳しくなってくるからです。
そもそも、事業者側はアフィリエイトの表現をコントロールできなくても、アフィリエイトの表現が法律に抵触していれば指摘を受けてしまいます。事業者としてもアフィリエイトを常にパトロールし、法律に抵触する表現をしているサイトを見つけたら、やはりきちんと対処するようにしなければなりません。
ただ現在では、記事を書いているアフィリエイター自身も責任が問われるようになってきています。さらに、広告を出稿する媒体自体の審査も厳しくなっているのが現状です。
つまり、売れるアフィリエイト広告を作成してもらうことが、どんどん難しくなってきているともいえるのです。
アフィリエイターの中には、どんな表現がOKでどんな表現がNGなのか、正直よく分かっていないという人もたくさんいます。
そこで広告代理店などがよく行っているのが、アフィリエイターを集めた座談会です。座談会を通じて、OKやNGとなる表現の明確な基準を、会社として示してあげるわけです。
このように、アフィリエイターの負荷を軽減する情報共有の場を作ることは、これから必要になってくるでしょう。
■商品と表現はセットで設計
攻めた表現はリスクがあります。ただ、守りの姿勢に偏り過ぎた表現ばかりになってしまっては、売れるアフィリエイトにはなり得ません。
そこで、事業者としても、素材のメカニズムや特徴を把握しやすい、個性的な表現をあらかじめ用意しておくことが重要になります。一見、薬機法に触れるように見える表現であっても、エビデンスがあり、論理がしっかりしていれば、広告媒体の審査を通る可能性は十分にあり得るのです。
そういった目をひく表現は、消費者にも響きます。さらに、経験値の高いアフィリエイターには、売れる商品だと判断される可能性も高くなるのです。
こう考えていくと、結局は商品設計の時点で、売れる表現方法を検討する必要があるということになります。効果を得られる優れた成分がたくさんあっても、その効果を消費者に分かりやすく表現できなければ、売れるアフィリエイトも作られないわけです。
これからさらに売り上げを伸ばしたいリピート通販事業者は、アフィリエイトも上手に活用していかなければなりません。(つづく)
〈筆者プロフィール〉
ライフエックス代表取締役社長 工藤一朗
1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。入社後すぐに売り上げナンバーワンを記録。その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
09年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。
【リピートEC 成功の秘訣「真の顧客満足向上とは」】第9回 売れるアフィリエイトの攻略法
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