【速報 米国ECの新潮流~ラスベガス視察レポート~】〈前編〉 PB商品のブランド化で顧客獲得

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米国のカンファレンス「Grocery shop」では最新事例が紹介された

 いつも.の高木です。10月28~31日に米国ラスベガスにて開催された「Grocery shop」というカンファレンスに参加してきました。このカンファレンスは食品・消費財業界に特化したイベントです。日本より先行するデジタル化や、ECの動向・事例を速報で共有します。
 このイベントで目立ったキーワードは「D2C」「PB商品のブランド化」「デジタルシェルフ」があります。日本のEC業界でよく使われている「オムニチャネル」は、米国では普通のことになり、イベントではほとんど聞かれなくなっていました。
 今回は注目キーワードを中心に動向や先行事例をレポートします。米国の2年程度後を追う日本のECおよび小売企業のデジタル化へのヒントにしてください。


大手小売がPB拡大

 現在、米国のEC市場の構図としては、アマゾンが市場シェアを高めています。そんな中、新興勢力として独自の商品・ブランド・サービスを持ってEC直販で顧客を獲得している「D2C(Direct to Consumer)」モデルが急速に成長しています。
 D2Cに対抗するように、大手小売りが「PB商品」を軸にして実店舗中心に棚を増やして、売り上げを確保する動きになっています。
 このような大手小売りの実店舗の棚でPB商品の比率が高まっていくことにより、メーカー系企業の商品のシェアが落ちていくことへの危機感の高まりも、メーカー系企業がEC直販の「D2C」を加速する要因になっています。
 米国では日本と同様に食品・日用品のEC化率が低い状況にあり、伸びしろがあるということで注目を集めています。最初に食品や日用品をECで買うと、その後も同じブランドを買い続ける人が75%いるという調査データも共有されていて、EC化率を高める取り組みが加速しています。


PBでファン育成

 一方、米国では小売り市場の約25%がPBになっていて増え続けています。消費者もまた、どんどんPBを購入するようになってきています。
 さらに、若者がPBを購入する理由も変化しています。従来の「お得さ」から「品質価値」や「賢い買い物」という価値観へシフトし始めていて、PB自体が「ブランド」になって価値が高まり「指名買い」が増えています。
 また、消費者は好きな小売店舗を選ぶ基準として、お気に入りのPB品を売っているからという消費者が増えてきている状況です。PB商品が強く支持されている、小売り大手のトレーダージョーやコストコの業績が安定していることも、こうした状況を裏付ける一例といえるでしょう。
 日本で小売店がPBを販売する大きな理由は、利益率を高められるというものでしたが、米国では来店数や店舗支持率を高めるためにPBを売り始めているということです。


D2Cで若年層開拓

 このような動きを日本に置き換えると、アマゾンや楽天などの巨大モールの影響で小売店の店舗は弱体化が進み、大手小売りの売り場で「PB商品」のシェアが拡大。メーカー系企業や新興ブランドは「D2Cモデル」でデジタルに強い20~40代の顧客を開拓する動きが加速すると予測しています。
 次回は、アマゾンに対抗するD2C事例やECという「デジタル」の売り場・棚をどのような作戦で獲得していくかについて、事例を交えてレポートします。(つづく)


〈プロフィール〉
 いつも.上席コンサルタント 高木修氏

 いつも.のECコンサルティングノウハウを開発する部門の責任者を行いながら、大手企業のEC事業拡大のコンサルティング業務も手掛けている。米国在住経験もあり、海外ECモデルの変遷にも精通し、6年連続で米国視察を行い、米国の小売りおよびEコマースの最新動向も収集・整理して日本での活用を提案している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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