【2018 DMフェア〈セミナーダイジェスト〉】 〈講師〉協和 小原田剛社長室兼EC事業責任者/〈単品通販脱却への近道〜広告に頼らない集客とその仕組みとは〜 後編〉  購買心理分析し、購入を習慣化

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 化粧品通販を手掛ける協和(本社東京都、堀内泰司社長)は、4月に開催したダイレクト・マーケティング・フェア2018で「単品通販脱却への近道」と題したセミナーを実施した。ドクターシーラボ出身で、協和のEC事業責任者である小原田剛氏が広告に依存しない販売戦略を解説。後編では、動画を活用したPR手法や、購買心理を分析し、購入を習慣化させた事例を紹介した。

■動画でPR
 人気マネキン劇の制作陣に、PR動画の制作を依頼しました。製品の説明をせず、インパクトを重視したPR動画が話題を呼びました。
 美容ドリンクを「睡眠美容」という新たな切り口で発売しました。「安眠しながらキレイになれる」というコンセプトで開発したものです。
 そこで、大阪の有名ゲイバーのママが製品を使用したカクテルのレシピを紹介する動画を制作しました。これも再生回数はかなり伸びました。
 しかし、主力ではない商品のPRにコストをかけるのは非常に困難です。ここで今はやりのコンテンツ・マーケティング的な考え方が重要になります。当社では動画配信が中心です。
 「プラセンタエキス原液・エンリッチ」の保湿力を証明するための検証動画では、餅に製品と水をそれぞれ塗布して10分置き、前者はツヤが残りますが後者は乾燥してしまいます。こうした視覚的な「分かりやすさ」を動画で提示することで集客が見込めるのです。
 さて、ECを活用するには、消費者の購買行動心理を把握することも非常に重要です。当社は現在、大手スーパーの「毎月○日はお客様感謝デー」を見習った施策に取り組んでいます。一度認知されれば日付が刷り込まれるので、毎度広告を打たなくともその日になれば来店する顧客ができます。
 ブランド名にかけて毎月2〜5日までの「フラコラDAYS」というスペシャルセールを行い、特定の商品を手に取ってもらいやすくしています。約1年間続けたところ、こちらが何もしなくてもECサイトを閲覧する顧客が増えました。

■SEOは広告か
 購買心理をつかみ、購入を習慣化することに成功したのです。毎月この期間の売り上げは平常時の約1.5〜2倍になります。最近では、セール対象商品の関連商品まで少しずつ売れるようになってきました。
 ただ、同じことを続けているだけでは飽きられてしまいます。そこで商品の適切な利用シーンや方法を知っていただくことも重要だと考え、通販番組風の動画で商品紹介を行いました。
 顧客は買うつもりでセールにアクセスしているので、最後まで見てもらえる可能性も高くなります。制作費もECサイトやチラシに比べ非常に安価でした。
 急にテクニカルな話を始めますが、SEO(検索エンジン最適化)は広告費なのか販促費なのか、それ以外なのか。一体何なのか、という問題があると思います。広告費として計上している企業が多いのではないでしょうか。
 検索エンジンからの集客が重要だということは言うまでもありません。しかし、当社では広告ではない、として予算をかけることをやめました。グーグルの仕様が変わり、商品を分かりやすく紹介していれば検索結果上位に表示されるようになっています。
 最後に、買い物の際のワクワク感は絶対に必要です。単品通販の衝動買いでは、買い物自体のワクワク感は存在しません。
 当社は昨年12月、「らく楽セレクト便」という定額制で顧客が選んだ複数の商品をセットで定期配送するサービスを開始しました。自分に合ったものを選べてお得感があると非常に好評です。現在は、自分では何を買うべきか選べない顧客向けのサービスリリースを検討しています。(おわり)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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