化粧品通販を手掛ける協和(本社東京都、堀内泰司社長)は、4月に開催したダイレクト・マーケティング・フェア2018で「単品通販脱却への近道」と題したセミナーを実施した。ドクターシーラボ出身で、協和のEC事業責任者である小原田剛氏が広告に依存しない販売戦略を解説。前編では、顧客との接点の増やし方や認知拡大施策を紹介した。
■認知度は15%
今回のセミナーでは、広告に頼らない集客とその仕組みについて紹介します。協和は、プラセンタを主原料としたスキンケアコスメ、美容ドリンク、美容サプリメントを製造・通販を手掛ける従業員数97人、年商約189億円(18年1月期)の会社です。
調査の結果、当社のブランド認知度は15%でした。他社を見ると、売り上げと認知度は比例していないことが分かりました。
最近は、広告宣伝や一つの商品に頼らずに売り上げを作ろうという方針で事業を進めています。結果として前年を上回る売り上げを出しています。
当社は改めるべき点を三つに絞りました。
一つ目は一商品のヒットに頼らないということ。二つ目はECを強化しなければならないということ。三つ目はビジネスモデルを変えることです。
当社は試供品をお送りして定期契約につなげる、単品通販の典型でした。対策としてまず、顧客との接点を増やすことを目標としました。当社の製品は定期契約なので、一度注文された後は顧客との距離がどうしても遠くなってしまいます。
会報誌やDMは費用対効果が見込めないため、メルマガやLINEを強化し、メルマガは月間25本ほど、LINEはスタンプを配信するようになりました。LINEスタンプはかなり費用がかかるのですが、1年間で回収し、前年比140%の集客ができました。
■”尖る”必要性
顧客リストを重視し、サンプル注文だけで終わっていた「休眠」顧客に、その他の製品でアプローチすることにしました。多様なニーズに応えられるよう、日々商品の特集やキャンペーンを展開してきました。
さて、何をするにも尖らないと、強いブランドにはなれません。
ブランド認知度が15%というのはあまりにも低いため、さまざまな方法で検証を行ったのですが、やはり認知度が低いのは事実でした。当社の顧客でも、「プラセンタつぶ」「プラセンタエキス原液」といった商品名は知っていても、大枠であるブランド名は知らないという方が多いのです。
しかし、ブランド認知度が低いということは守るべきイメージがないということです。他にはない尖ったプロモーションをどんどん打ち出していくことができます。まず、製品の存在を知ってもらうことが重要です。
17年、当社は「まもる たたかう LPS」というサプリメントを発売しました。リポポサッカロイド(LPS)は「免疫ビタミン」と呼ばれていて、さまざまなウイルスや病原菌に対する抵抗力を高めるとされているのですが、健康食品では、このようにうたうことはできません。
そこで逆転の発想で、知らない会社が知らない商品を楽しく売ったらどうなるか、ということを試してみました。何を考えているのかと疑問に思ってもらえれば、ひとまず製品を知ってもらうことができます。
(つづく)
【2018 DMフェア〈セミナーダイジェスト〉】 〈講師〉協和 小原田剛社長室兼EC事業責任者/〈単品通販脱却への近道〜広告に頼らない集客とその仕組みとは〜 前編〉 広告に依存しない販売戦略
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