前回は、「個人への共感がビジネスになる」というテーマで、小さなブランドでも消費者の共感を得ることで事業展開できるという話をしました。今回は、実際に私が新商品を開発する際の流れを紹介します。
先日、新商品を発売しました。白いウィングチップの革靴です。?白い革靴?と聞いた人は、大抵驚きます。「白い革靴なんて趣味が悪い」「ガラの悪い人が履くイメージだ」といった意見が大半です。
私自身も白いスニーカーは持っていますし、白い革のスニーカーは履きます。しかし、確かに白い革靴(紳士靴)は持っていませんでしたし、履こうとも思いませんでした。ある日、街中で白い革靴を履く人を見て、イメージが一新したことを覚えています。
私のブランド「COMFOLD」のコンセプトは?革靴なのにカジュアル?です。スニーカーのようにカジュアルな、白い革靴を作ってみようと思い、企画はスタートしました。
まず初めに参考になるかと、街中のセレクトショップや靴屋を回り、白い革靴を探しました。ところが目に入るのは、どれもスニーカー。白い革の紳士靴は見つかりませんでした。
■意思を貫けるか
「やはり、世の中に求める人が少ないから、売っていないのか」とも思いましたが、逆にチャンスです。以前の連載でも書きましたが、商品開発のコンセプトは「自分の欲しいものを作る」です。今回の白い革靴は、自分が欲しいんです。
次に、サンプルをいくつか作り、形が決まったところで、何人かに見せると反応は上々。やはり、実際に形にして見せないと顧客は判断できないんだと妙に納得したものです。顧客に企画の是非を聞いても答えは出ません。
そして、いよいよ最終型をフィックスして、製品化しました。
本稿に掲載した写真以外にも、ウエブ上ではいくつか他のカットを掲載しています。やはり実際に履くところを見ると、単に?白い革靴?と聞いたときの印象とは異なります。
「白いスニーカー感覚で白い革靴を履く」。これが今回の新商品の提案となりました。売れ行きはなかなか好調で、「ありそうで無かった」「他では手に入らない」といったご意見をいただいてます。
結局、自分の意思を貫いて、欲しいものを作った結果が、最終的にお客さまを喜ばせると改めて実感しました。
ここは、ブレることなく続けていきたいと思います。
〈プロフィール〉
しまもと・だいすけ
ウエブ制作会社でディレクターとして活躍後、キノトロープを経て、ライブドアに入社。数多くの企業ウエブサイト構築プロジェクトに携わる。その後、セシールでネットマーケティング本部統括、常務執行役員。fitfitでCOO。商品企画から店舗立ち上げ・運営、カタログ販売まで幅広い業務を統括。16年、coen(現・YUAN)を設立。
【ゼロから始めるブランド開業日記】第5回 顧客に聞いても答えは出ない
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