【リピートEC 成功の秘訣「真の顧客満足向上とは」】第7回 海外展開のポイントは「コネクション」

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■定期購入に文化がない

 越境ECで海外に進出する企業が増えてきました。リピート通販を展開する企業でも、海外を視野に入れているところは少なくないのではないでしょうか。
 とはいえ、日本と同じようなやり方で海外に進出してもうまくいくとは限りません。国によって文化や考え方が違うわけですから当然です。
 実際にここ1年くらいで、海外から撤退する会社と、海外で成長する会社の明暗がはっきりしてきたように見受けられます。
 そこで今回は、日本と海外のリピート通販における違いと、海外展開のポイントについて考えていきます。
 まず、「定期購入」という仕組みですが、これは日本独特ともいえる文化で、海外ではあまりなじみがありません。
 例えば健康食品や化粧品企業が多く展開を考える台湾。ウェブ広告を打てば、その都度商品を購入する「都度購入」のお客さまを獲得できるので、日本で展開している定期購入の仕組みを無理やり当てはめようとする必要はありません。
 決済面だけをみると、日本型の定期購入に適したクレジット決済サービスは、台湾にもたくさんあります。ただ、アリペイなどの電子決済が日本よりも普及していることもあり、やはり都度購入という感覚が強いように思います。
 そこで、「繰り返しの都度購入」を増やしていく必要がありますが、そのためには、やはり商品の魅力をしっかりと打ち出していく必要があります。
 台湾の企業では商品設計を行うにあたって、お客さまが一定期間で実現すべき目標(例えばダイエットや運動能力の向上といったこと)を訴求するケースが多いように感じます。リピート通販というよりは、サブスプリクション(期間で課金する)の発想で商品・サービスを提供しているような感じです。
 つまり、サブスプリクションの契約内容の考え方や配送方法に合わせて、展開していくことも、日本企業が台湾に進出する上で有効な方法の一つだと思います。


■現地の仕組みを網羅する

 お客さま対応においては、チャットを利用したカスタマーサービスが日本よりもかなり浸透しているようです。前回は、LINEを例にとって、コミュニケーションツールの活用方法について話をしました。そして、日本でも、ワントゥーワンのコミュニケーションを視野に入れていく必要があるということをお伝えしました。
 広告の効果的な運用方法については、国によって当然違いがあります。
 たとえばタイであれば、テレビの長尺のCM(インフォマーシャル)でまだまだ売り上げを上げることができます。商品的にも、まさか日本で売れると思えないようなものが、現地でヒットすることがあります。
 総じて考えると、海外展開で重要なのは、「現地でのコネクション」といえます。例えば、台湾や中国などでは、KOL(SNSなどで発信するインフルエンサー)マーケティングの影響力が日本の何倍もあると感じます。
 インフルエンサーとなり得る企業や人とコネクションを持つことで、現地の人々が魅力的と感じる広告を出稿することが可能になります。
 日本とはさまざまな違いがあるとはいえ、台湾やインドネシアなどでは日本の文化が「はまる」ことも多々あります。
 現地のマーケットや広告の仕組みを網羅し、うまくブランディングすることができれば、海外展開での勝機はあるのではないでしょうか。(つづく)


〈筆者プロフィール〉
 ライフエックス代表取締役社長 工藤一朗

 1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。入社後すぐに売り上げナンバーワンを記録。その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
 09年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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