【百戦錬磨の仕事人が語る”企業再生術”】第3回 アフィリエイトの獲得コスト4割減

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 今回は多くの通販企業にとって課題となっている新規顧客獲得について解説します。現在、売り上げを伸ばしているリピート通販企業の多くは、アフィリエイトに予算を大きく割いています。広告予算の7割以上をアフィリエイトに費やしている企業もあります。
 アフィリエイトとは、アフィリエイターと呼ばれる外部パートナーを通してサイトに集客。購入に至ったりした場合に報酬を支払う成果報酬型の広告です。リピート通販は一度の購入で終わりではないことから、LTV(長期的に生じる利益)を確保しやすいビジネスです。そのため、新規顧客獲得に貢献したアフィリエイターに対しても高い報酬を支払うことができます。
 高い報酬を求め、スキルの高いアフィリエイターが増え、アフィリエイト市場は活発化しています。リピート通販企業はアフィリエイトを効果的に活用することで、飛躍的に売り上げを伸ばすことができるのです。
 アフィリエイトを活用するにもこつがあります。アフィリエイターは、(1)ネット広告(アド)媒体に強い(2)SEO(検索エンジン最適化)媒体に強い─の二つに分類できます。
 アド媒体に強いアフィリエイターを活用することで、売り上げを早期に作ることができます。ただ、広告枠は入札方式のため、新規獲得のペースが安定しない傾向にあります。1人のアフィリエイターが入札していた金額を、競合商品を担いでいる別のアフィリエイターが上回り、枠を取られてしまうケースもあるからです。


■自社商品で競合も
 メーカーによっては、複数のアフィリエイターに発注した結果、自社が依頼したアフィリエイター同士が競合し、入札単価を釣り上げてしまうといった現象も起きています。
 当社はアフィリエイトを効果的に活用するために、グループ会社で、メーカーとアフィリエイトを仲介するASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)を運営しています。「アイムリンクス」というASPは、クローズドASPという形態で、一部のメーカーとアフィリエイターにしか開放していません。
 アフィリエイター同士が競合しないように、それぞれの媒体に強いアフィリエイターを選別して発注することができます。アフィリエイターの要望を聞き、疑問点を解消したり、効果的にプロモーションするための素材を提供したりしています。
 こうした仕組みを構築することで、一般的なアフィリエイトよりも4割くらい安いコストで新規を獲得できています。新規の獲得効率が上がったメーカーは、広告予算を増やすことでさらに売り上げを伸ばすことができました。
 アド媒体のアフィリエイターを効果的に活用することも重要ですが、安定的に新規顧客を獲得するためには、SEO媒体に強いアフィリエイターの活用方法がより重要だといえます。しかし、グーグルの検索アルゴリズムの変更などにより、SEO媒体におけるアフィリエイトの状況に変化が生じています。
 次回はSEO媒体に強いアフィリエイターの活用法と、M&Aによる新たな新規獲得の手法を解説します。(つづく)


〈著者プロフィール〉
AIGATE 竹尾昌大社長

 81年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学在学中にOBである京セラ創業者、稲盛和夫氏が開講していた経営塾「稲盛アカデミー」に参加。大学3年時にブックオフコーポレーションの創業者、坂本孝氏と出会い、経営不振だった鹿児島のブックオフ店舗を任される。27歳で福岡の化粧品通販会社に参画し、化粧品・美容サプリ通販の事業運営に従事。その後、売り上げが伸び悩んでいた、美と健康商材を扱う化粧品通販会社をファンドとともにハンズオン投資し、代表取締役に就任。短期間で飛躍的に事業を成長させ、その会社を韓国財閥企業へM&Aする。18年3月、これまで蓄積してきた企業「再生」のノウハウ、M&Aの体験を生かすべく「AIGATE(アイガテ)株式会社」を創設した。

■AIGATE ホームページ
 http://www.aigate.co.jp/

■ サイトM&A仲介サービス「 ReSite(リサイト)」
 https://ai-resite.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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