前回はECサイトの改善やツールの導入方法について、決済方法から順番に変えていくべきであるということをお伝えしました。今回は、後払い決済や、携帯電話のキャリア決済の導入、そしてログイン方法の改善について、解説します。
■若年層向けの後払い
各社のECサイトでは、「atone(アトネ)」や「paidy(ペイディー)」といった後払い決済システムの導入が進んでいます。ECで購入した一カ月分の金額を、翌月まとめてコンビニで支払うといった仕組みです。
「Paidy」はペーパーレスで、分割支払いが可能です。若年層の女性ユーザーが多い、アパレルECやカラーコンタクトECで利用率が高まっています。10代後半〜20代前半のユーザーには、クレジットカードを持っていない人も多く、コンビニで手軽に現金で支払いができる手段を導入することは、商材にもよりますが、売り上げ拡大につながりやすいのです。
■「ついで買い」を促進
auやdocomoなどの携帯電話の登録情報を使ったキャリア決済は、20〜30代の間で利用率が高まっているようです。月々の携帯料金に支払いを統合できるという点が便利です。ECの利用金額が携帯キャリアのポイントに加算されることも魅力の一つとなっています。
利用限度額が年齢や個人によって異なるため、高単価商材の企業にはあまり向かない決済方法かもしれません。ただ、単価が低く、ついで買いをしやすい商材を扱うEC企業には、キャリア決済が、ユーザーにマッチする可能性が高いと思います。
今後は「Apple Pay(アップルペイ)」のように、デバイスと一体になった決済方法が、ECとどのように関わってくるかにも注目すべきです。利用率はまだ低いですが、顔や指での認証や、「AppleWatch(アップルウォッチ)」での支払いは非常に簡単だからです。
決済手段の多様化に合わせて、ASPカートシステムのオプションやパッケージシステムは進化しており、多様な決済手段を標準連携などで導入しやすくなりました。自社のユーザーに合ったものに一つでもチャレンジしてみてはどうでしょうか。
■LINE利用のログイン多数
次は、ECサイトのログイン方法について、解説します。
SNSの登録情報を基にECサイトの登録手続きや、次回のログインの方法を簡略化する、「ソーシャルログイン」を導入する企業が増加しています。ユーザーにとっては、IDやパスワードの管理が楽になるというメリットもあります。SNSの種類にもよりますが、企業側がSNSを使って、次のマーケティング施策を行っていくことも可能になります。
あるウェブ調査会社によると、複数のソーシャルログインを導入しているECサイトを調べたところ、「LINE」を通じてログインするユーザー数が半数以上を占めていたというデータもあります。LINEは国内のユーザー数が圧倒的に多いですから、このデータはうなずけます。フェイスブック、ツイッターなど、自社ユーザーのボリューム層に合わせて、ソーシャルログインを選択する必要があります。
ユーザーにとって、カゴから購入完了までの間は「いかに手間なく済ませるか?」が重要なので、ログイン方法についても、できるだけ簡便なツールを導入することをお勧めします。(つづく)
〈プロフィール〉
ビジョナリーホールディングス 執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 事業本部長
川添・隆(かわぞえ・たかし)
アパレル関連企業2社を経験後、前職ではEC事業責任者として売上倍増に寄与した。2018年4月よりビジョナリーホールディングスで現職。ECを4年で3.4倍に拡大。オムニチャネルに取り組む傍ら、コンサルも手掛け、EC関連のセミナーにも多数登壇している。
【踊らされない!戦略的自社ECのTEC活用術】第3回 「いかに手間なく済ませるか」が重要
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