【「cafe24」が教える〈韓国発 越境EC成功事例〉】第5回 自社ECで迅速にトレンド発信

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千・ジョンミンCEO

千・ジョンミンCEO

 09年からアパレル販売を手掛ける「ミンスショップ」は、国内や海外消費者に向け活発なEC展開を行っています。「ミンスショップ」は、自社ECサイトを活用し、迅速かつリーズナブルな価格のトレンディーなアパレル商品を若年層へ提示しています。特に、女性らしさを取り入れた独特のスタイルは、20〜30代女性から人気を集めています。
 「ミンスショップ」を率いる千・ジョンミンCEOは、人気の要因を迅速なトレンド発信だと見ています。
 「世界のファッション市場で高価ブランド品より、手頃な値段で購入できるトレンディーな商品へのニーズが高まっています。こうしたニーズに対応するため、最新トレンドを取り入れた商品をECサイトで迅速に発信したことが良かったと思います」(千CEO)と分析しています。


■ユーチューブで対話

 「ミンスショップ」は、若年層に向けた効果的なマーケティングチャネルとして、SNSを積極的に活用しています。立ち上げ当初からインスタグラムを含む多数のチャネルを運営しており、今年3月、ユーチューブに公式チャンネルを開設しました。
 「SNSでメーキャップや商品情報などをライブで発信していました。その間、放送時間が短くて残念だとか、時間がたつと映像が消えてしまい不便だとか、さまざまな顧客の意見がありました。こうした顧客の要望を取り入れ、改善策としてユーチューブに公式チャンネルを開設しました」(同)と振り返ります。
 このように顧客の声を積極的に反映したことで、開設2週間で公式チャンネルの登録者数が、3000人以上を記録したといいます。単なる広告チャンネルではなく、顧客とのコミュニケーションに取り組んでいることが特徴です。
 千CEOが直接、メーキャップやヘアアレンジのこつ、日常生活に関するさまざまな情報を発信しており、顧客から非常に反響があるようです。


■14年から越境EC

 「ミンスショップ」は国内にとどまらず、海外の若年消費者に向けてアプローチしています。ECサイトやSNSなどネットから「ミンスショップ」へアクセスした、海外消費者から問い合わせが増えたことが海外展開のきっかけだそうです。
 14年、グローバルECプラットフォーム「cafe24」で、中国語の自社ECサイトを開設。英語、日本語のサイトも続いて開設し、積極的に越境ECを展開しています。
 16年から独自に開発したオリジナル商品が、サイトの認知度向上に貢献しています。17年の売上高は、前年比2倍以上に増加するなど成長を続けています。
 「ミンスショップ」は、アパレル以外のカテゴリーにも品ぞろえを広げており、17年に独自コスメブランド「ミンスミ」もリリースしました。
 千CEOによりますと、独自のコスメ商品も時間をかけて企画から生産まで行い、顧客からいい反応を得ているようです。
 今後も「ミンスショップ」は、進出先の文化や消費者の特徴を踏まえた商品を継続的に提示する計画です。また、自社ECやSNSなどネットを通じて、さまざまな国の若年層に向け、トレンド発信を行う予定です。


〈執筆者略歴〉
cafe24 マーケティング戦略研究所 イ・シファン所長

 最近のEC市場において大きな話題となっている、「越境EC」についてさまざまな経験やノウハウを蓄積している。記事の寄稿やセミナー講義、関連著書出版なども多数。日本や中華圏、英語圏市場進出を検討する企業に向けてマーケティング戦略、ビッグデータツール活用、ブランド戦略、CRM設計など専門的なコンサルティングを行っている。

「ミンスショップ」のECサイト

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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