【百戦錬磨の仕事人が語る”企業再生術”】第2回 事業再生では”編集力”が重要

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 事業再生やM&Aは”編集力”が重要だと思っています。プランセンタ化粧品販売のR&Y社では、編集力を生かし、売上高を2年間で4倍の約60億円まで伸ばしました。
 再生の構想を練る中で、どんなふうに編集していくのがいいのか。それまでR&Yが取り組まなかったことを積極的に攻めていこうと思ったんです。同時に現場にも徹底的に関わり、現場を知り、生の声を聞くことで改善点がどこにあり、それをどう編集するかを見極めることができたので一気に再生スピードを上げ、売り上げを急拡大させることができました。


■EC集客、運営を改善

 今まで取り組まなかったことをどう編集できるのか。当時通販を中心とした販売方法でしたが、ECを活用した集客が全くできていなかった。実は担当者もいなかったんです。
 まずは担当者の採用から始め、ランディングページ(LP)を作り完成度を上げ、バックヤードの効率を徹底的に上げていく。効率を上げる改善は、EC事業だけではなく、コールセンターや物流システムも細かく再編集していきました。
 とてもいい商品を持っている会社がゆえの課題も眠っていました。それは次なる柱の商品開発に積極的に取り組めていなかったこと。今まで取り入れてこなかった手法で新商品開発をスタートさせました。
 例えば外部のデザイナーを起用し、外部の意見を取り入れながら客観性を持って自社の商品を開発する。会社の中にいると客観性がなくなり、お客さまのニーズを捉えているようで、思い込みだったりすることもあるんです。
 外部パートナーからの視点は新鮮であり、まさにお客さま視点を突いているんですよ。自社の中だけで仕事をするのではなく、それぞれを得意とするパートナーと考えをぶつけ合い、進んでいくことが会社全体の機能を高める、人材の育成にもつながりました。


■変わるきっかけ作る

 私が、ガンガン新しい取り組みを推進していくのでスタッフも初めは戸惑っていました。でも、そんなスピード感にも慣れ、むしろ活動的になり楽しんで仕事をするようになってくれました。
 変わるきっかけさえあれば、スタッフも事業も会社も活動的になり、大きな可能性へとつながっていくと確信しました。
 事業再生やM&Aには100の企業があれば、100通りのやり方があります。これは自分が、M&Aを実際に経験し、現場主義で生の経営を行ってきたからこそ分かります。
 事業再生やM&Aは決して重いことでも、ネガティブなことではなく、企業と企業に、人と人に、さまざまな虹をかけることであることを伝えたいと思っています。(つづく)


〈著者プロフィール〉
AIGATE 竹尾昌大社長

 81年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学在学中にOBである京セラ創業者、稲盛和夫氏が開講していた経営塾「稲盛アカデミー」に参加。大学3年時にブックオフコーポレーションの創業者、坂本孝氏と出会い、経営不振だった鹿児島のブックオフ店舗を任される。27歳で福岡の化粧品通販会社に参画し、化粧品・美容サプリ通販の事業運営に従事。その後、売り上げが伸び悩んでいた、美と健康商材を扱う化粧品通販会社をファンドとともにハンズオン投資し、代表取締役に就任。短期間で飛躍的に事業を成長させ、その会社を韓国財閥企業へM&Aする。18年3月、これまで蓄積してきた企業「再生」のノウハウ、M&Aの体験を生かすべく「AIGATE(アイガテ)株式会社」を創設した。

■AIGATE ホームページ
 http://www.aigate.co.jp/

■ サイトM&A仲介サービス「 ReSite(リサイト)」
 https://ai-resite.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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