【中国越境ECの”今と現実”】第3回 セールの時期ごとに戦略の構築を

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<「黒五」は前年比6倍にも>

 前回紹介した中国EC市場最大のセール「双11(ダブルイレブン、独身の日)」や「618セール」のほかにも、ネット上の大イベントがあります。
 中でも、「黒五(ブラックフライデー)」は、日本でも大手小売りで目にすることが増えてきました。ブラックフライデーは、米国が発祥の大規模な安売りイベントで、11月の第4金曜日に実施されます。
 中国における「黒五」は、当初から越境ECのイメージが強く、主に越境ECのモールで盛り上がりをみせます。2017年の黒五も盛り上がりました。天猫国際(T—モールグローバル)や京東全球購(ジンドンワールドワイド)、amazon海外購(amazon越境ECサイト)が、軒並み前年比2倍の流通額を達成。越境ECサイトの「洋●(●は「碼」の簡体字)●(●は「頭」の繁体字)(YMT)」は前年比6倍、「考拉(コアラ)」も前年比5.5倍という高い伸び率を記録しました。


<電子決済でリアルと連携>

 「双12」は、12月12日に開催されます。もともと、アリババが仕掛けたイベントで、淘宝双12(タオバオダブルトゥエルブ)とも言われています。「双11」と差別化を図る意味で、安売りをするだけでなく、クーポンをばらまくのが特徴です。アリババの電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を導入しているリアル店舗と連動させる形でのクーポンキャンペーンを積極的に仕掛けています。
 直近2017年の流通額は1000億元(約1兆7000億円)を超えたとみられています。
 ただ、リアル店舗の数字が半分ほどを占めていることを考えると、ネット単体では「双11」が最大のセールといえます。


<連休前は出荷できない>

 前回・今回と、中国の主要ECサイトが仕掛けるイベントに関してお伝えしましたが、それ以外に当然、一般的な季節イベントがあります。2018年の春節(旧正月)は、2月16日でしたし、国慶節は10月1日でした。いずれも大型連休がセットとなっています。
 特に春節前は、日本の年末と同様、一般消費者の消費行動が最大化する時期となりますので、ECにおいても大きく仕掛けるチャンスとなります。この大型連休を伴うイベントで気を付けなければならないのが、配送業者も休みに入ってしまうということです。日本では宅配業者は年中無休のイメージが強いですが、中国では休みに入るところがほとんどです。
 例えば、2018年の春節の時期の上海では、2月8日〜20日までをお休みとする宅配事業者がほとんどでした。この期間内はECサイトの出荷ができないため、売り上げが激減します。この点も考慮した事業計画を練っておく必要があるでしょう。
 中国ECでは、季節イベント以外にも多くのECのイベントがあるため、それぞれに合わせた販売戦略を立てることが必要です。各イベントには、それぞれ特徴があります。特徴に合わせた企画を立案する必要もあるでしょう。
 中国に向けて越境EC事業を展開する企業は、このような全体の流れを把握し、より効率のいいプロモーションを行っていく必要があります。さらに今でも、さまざまなECサイトや企業が新しいECのイベントを生み出しています。
 その中で、今回紹介したような大きなイベントになる可能性があります。最新情報に関しては、常にチェックをする必要があります。(つづく)


〈プロフィール〉
小嵜 秀信氏
 Eコマース初期より大手企業のECサイト・通販運営に従事。その後、EC事業会社、ECシステム会社の経営を経て、中国国内にて輸入品スーパー事業と中国越境EC事業などを手掛ける。また、日本初のEコマース学術研究機関である東海大学総合社会科学研究所Eコマースユニットにおいて、客員准教授として学術研究・教育にも従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。


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