【Amazon出品〈気になるトピックを徹底解説!〉】第3回 顧客満足追求も売上の鍵

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 Amazonは4月4日、2000円未満の購入について配送料を値上げすると発表しました。プライム会員が全世界で1億人を突破したという発表も先日ありましたが、この値上げはプライム会員以外が対象であるため、今後、プライム会員がさらに増えることが予想されます。
 この配送料の値上げのタイミングと合わせて、プライム会員の年会費の値上げを行うのでは、といううわさもあります。すでに米国のAmazonでは1月に、プライム会員について月額プランの値上げを行いました。年会費プランへ誘導したいという米Amazonの思惑が透けて見えますが、その誘導がある程度実現した段階で、年会費の値上げもあると考えられます。
 米Amazonと同様の動きは今後、日本でも起こると想定されます。プライム会員の会費に関する新しい動きは、国内でも3月にありました。それが学生向けの月額プラン「Prime Student(プライムスチューデント)」の開始です。学生は月額200円で、プライム会員と同様のサービスを利用できるようになりました。これもプライム会員の拡大に向けた取り組みと言えます。
 Amazonがなぜこれほどまでにプライム会員の増加を狙っているのか。その答えは、Amazonが掲げている「顧客満足の追求」にあります。Amazonがいうところの、「顧客満足の追求」は、主にプライム会員を対象にしたものであり、プライム会員でなければAmazonのさまざまなサービスを享受できないといっても過言ではありません。プライム会員の増加が、Amazonにとっては、顧客満足の追求に直結します。
 Amazonがそうした方向性である以上、出品者も、プライム会員の増加に合わせた対応をしていかなければなりません。商品ページにプライムマークをつけることができる、FBA(Amazonが配送を代行するサービス)やマケプレプライム(自社出荷でプライム対象商品にできるサービス)の利用は、プライム会員を囲い込むためには必須であり、プライムマークをつけて初めて、競争のスタートラインに立てるとも言えます。
 出品者としてもただ販売して終わりではなく、Amazonと軌を一にした動きをしていく必要があります。顧客が求めているのは、イメージがつかみやすい画像であったり、分かりやすい商品情報であったり、丁寧なサポートであったりします。Amazonに負けないほどの顧客満足の追求をして、差別化を図っていくことが、売り上げ拡大の大きな鍵となるでしょう。


■Amazon経済圏の確立

 値上げの一方で、値下げの動きも見られます。米Amazonでは、低所得者を対象に、プライム会員の月額費用を割引するサービスを開始しています。”値下げ”によって、新しい層を囲みたいという目的があるようです。
 今後は国内でも米国と同様に、プライム会員限定のクレジットカード展開を始めるのではという観測もあります。Amazon銀行を立ち上げるのではといううわさも絶えません。こうしたサービスや、既に展開しているバーコード決済サービス「AmazonCash(アマゾンキャッシュ)」など、金融面の新しいサービスを通じて、Amazon経済圏が今後確立していく可能性があります。これらも同様に、プライム会員向けのサービスになることが予想されます。


〈プロフィール〉
 比良益章(ひら・ますあき)
 2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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