【百戦錬磨の仕事人が語る”企業再生術”】第1回 「企業再生」をもっと身近に

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 今年3月、企業やECサイトのM&A、事業再生を支援する「AIGATE(アイガテ)株式会社」を立ち上げました。これまで年商数十億円から数百億円規模の企業再生を手掛けてきました。アイガテでは、中小企業を中心に、年商10億円以下の企業再生に力を注ぎたいと思っています。
 年商10億円以下の規模の企業がM&Aをしたいと思っても、大手M&A仲介会社はなかなか相手にしてくれないことも多いのが現状。経営者の方自身がまず自分の会社がM&Aできると思っていません。
 新興のEC企業では、面白いサービスを提供していますし、地方には残すべき価値がある企業や商品がたくさんあります。ただ、売り方があまりうまくなかったり、価値をうまく伝えられなかったりすることも多く、次の一手に悩む経営者が多いと感じています。
 M&Aと聞くと重く考えたり、ネガティブに捉える人が多いかもしれません。でも決して重いことや、ネガティブなことではなく、やり方はいくらでもあります。企業の持つ可能性を広げ、進化につながるのです。
 A社の商材を生かせるB社と組むことで、企業体を残したまま再生することも可能。C社のECサイトだけD社に売却したり、編集の仕方によってその企業が持つ価値を最大化できます。
 数字だけを見て右から左に売り飛ばすようなやり方ではなく、残すべき価値を見定めて、新しい発想で事業再生を提案していく。場合によってはM&Aしない方が良いケースもあるでしょう。M&Aではなく、むしろ他社と業務提携することにより、自社の強みを生かす事業展開を提案することもあります。


■クリエーティブが鍵

 事業再生の鍵は、”クリエーティブ視点”じゃないかと思います。実は、経営もクリエーティブなんですよ。僕はそう捉えています。今の時代どんないいサービスでも優れた商品でもよほどのことがない限り、ECやネットは重要なツールとなります。
 その中で、どんな角度から掘り下げ自社商品やサービスの魅力を伝えていくか、注目してもらえるのか、消費者がどんなことに関心があるのか。とにかくたくさんのアイデアをスピード感を持って考え、生み出すことこそがクリエーティブな視点での問題解決策だと思います。
 今すぐできるアイデアは即実行する行動力も大事なことです。例えば、とてもシンプルなことですが、コストをかけずに、商材をわれわれのインフラに乗せて、アマゾンで売ることによって利益を生むことができるケースもあります。広告の手法を変えるだけで、売り上げを伸ばすことができることもあります。
 地方の企業は、進化や革新的なことが苦手なように思います。古くから続く伝統や文化、風習、地域だけの習慣がたくさんあり、さまざまな魅力を持っているのも地方の素晴らしいところです。
 それぞれその土地で長い時間をかけて積み重ねてきたものだからこそ、「守る」という思いに捉われすぎてしまい、時代の変化へのクリエーティブな視点をうまく取り入れられていないようにも思います。
 物や文化などの本質は、いつの時代も変わらないものだと思います。だから、本質をしっかり見ていれば、ものの見方を少しクリエーティブにすることで、革新へと変わり、事業を成長させることにつながります。M&Aも事業再生も私は、そういう発想から始まると思っています。


■「アイガテ」の意味

 社名のアイガテは鹿児島弁で「ありがとう」を意味します。M&Aで売りたい会社と買いたい会社がお互いに「ありがとう」を交わし合えるような仕事をしたいと思っています。
 さらに、「AIGATE」には人工知能を意味する「AI」も入っています。「AI」に代表される最新テクノロジーを駆使し、新たな企業価値を創造するゲートになりたいという思いもあります。
 連載2回目からはもっと具体的な事業再生のノウハウや、M&Aのこつについて紹介したいと思います。(つづく)


〈著者プロフィール〉
AIGATE 竹尾昌大社長

 81年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学在学中にOBである京セラ創業者、稲盛和夫氏が開講していた経営塾「稲盛アカデミー」に参加。大学3年時にブックオフコーポレーションの創業者、坂本孝氏と出会い、経営不振だった鹿児島のブックオフ店舗を任される。27歳で福岡の化粧品通販会社に参画し、化粧品・美容サプリ通販の事業運営に従事。その後、売り上げが伸び悩んでいた、美と健康商材を扱う化粧品通販会社をファンドとともにハンズオン投資し、代表取締役に就任。短期間で飛躍的に事業を成長させ、その会社を韓国財閥企業へM&Aする。18年3月、これまで蓄積してきた企業「再生」のノウハウ、M&Aの体験を生かすべく「AIGATE(アイガテ)株式会社」を創設した。

■AIGATE ホームページ
 http://www.aigate.co.jp/

■ サイトM&A仲介サービス「 ReSite(リサイト)」
 https://ai-resite.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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