前回は、米国で「オムニチャネル」というキーワードが消え、メーカー機能を持った企業がEC中心に消費者に直接販売する「DtoC(Direct to Consumer)」が主流になっていることをお伝えしました。今回はイベントでもキーワードとなっていました「人工知能(AI)活用」「会話型コマース」の事例を共有いたします。
■チャット活用の成功例
一つ目の事例は、15年に設立された、ヘルシードリンクをテキストチャットで販売する「Dirty Lemon Beverages(ダーティー・レモン・ビバレッジズ)」です。主な商材はコラーゲン入り、活性炭入り、高麗人参入りなど6種類のオリジナルドリンク。
1本当たり10〜15キロカロリーとヘルシーで、素材にこだわったドリンクは、6本で45ドル(約4800円)とやや高めです。しかし、人気女優のケイト・ハドソンさんやミンディ・カリングさんをはじめ、10万人以上のユーザーを抱えるなど、多くのファンを集めています。
そんなダーティー・レモン・ビバレッジズのユニークなポイントは、販売方法です。彼らはテキストチャット、いわゆるSMS(ショートメッセージサービス)を使って注文を受け付けます。米国で主流になっている「会話型コマース」です。
まず顧客が「商品を注文したい」とメッセージを送ると、自動返信で、「6種類あるドリンクのうちどれを注文したいか」「何本購入したいか」などの質問が送られてきます。それに基づき顧客が返信すると、注文が完了するという仕組みです。
あらかじめテキストチャットに使う電話番号とクレジットカードなどの個人情報をひも付けておくので、決済もスムーズにできます。
このシンプルな注文手法が受け、創業以来すでに200万回以上のテキストをやりとりし、100万本のボトルを生産しています。
DtoC企業が重視するLTV(ライフタイムバリュー)は500ドル(5万3000円)以上で、顧客1人当たり10回以上注文していることになります。ちなみにCPA(顧客獲得単価)は40ドルです。
(続きは、「日本ネット経済新聞」4月19日号で)
【最速レポート〈SHOPTALK2018〉】最終回 日本ではモールで「DtoC」が先行
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