【リピートEC 成功の秘訣「真の顧客満足向上とは」】第2回 顧客把握でLTVを最大化

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 昨年12月に通販の定期購入に関する規制が強化されたことも影響し、新規顧客の獲得効率が悪化しているという通販・EC企業が散見されるようになっています。そうした背景の下、LTV向上に向けてCRMの強化に前向きに取り組もうという企業が増えてきているように感じます。一時は売り上げ重視だった企業も、顧客との関係性について考え始めています。
 今回は、LTVを最大化する方法について、初歩的なところから提案します。

■顧客層を3分類する

 まず、貴社では、自社の顧客層を次の三つのカテゴリーに分類したとき、各カテゴリーの人数は、それぞれどのくらいになりますか。(1)アクティブ顧客…商品購入を継続している顧客(2)仮眠顧客…1年未満、商品購入がない顧客(3)休眠顧客…1年以上、商品購入がない顧客(※「1年」という期間は、仮に設定したものです。各企業が、商品の特性などに合った年数を設定してください)─の三つのカテゴリーです。
 実は、この問いに対してすぐに答えられる企業は少ないのです。顧客を「アクティブ」と「休眠」の2種類にしかセグメントしていないという企業もまだまだ多くあります。
 まずは、先述の3分類を整理し、自社にどんなお客さまがいるのかを把握することから始めてください。


■アクティブ顧客の把握

 LTVを最大化していく手法としては、次の四つが挙げられます。(1)継続率のアップ(2)併売率のアップ(3)アップセル率のアップ(4)仮眠・休眠顧客の活性化─です。
 各企業には、たとえば「顧客第一主義」「リピート第一主義」といった方針があり、方針を具現化するため、「既存顧客の活性化」といった戦略を組み立てていることと思います。既存の戦略にさきほどの四つの手法をうまくつなげていくことが、戦術であり、リピート通販成功のポイントといえます。
 具体的には、「誰に」「どのタイミングで」「何を」するかを明確にする必要があります。このときにこそ、三つの顧客分類に対応した戦術を行うことが求められるのです。
 まず、継続率や併売率、アップセル率を高めるためには、自社のお客さまの特徴を把握しておかなければなりません。つまり、アクティブ顧客のデータをしっかりと分析した後に初めて、「誰に」「どのタイミングで」「何を」していくべきかが見えてくるのです。アクティブ層を活発にしていくと、より多くのデータを基に、正確な顧客分析ができるようになります。


■適切な広告投資を

 ちなみに、最も収益性が高い顧客は、アクティブのなかでも特にロイヤルカスタマーといわれる層です。この層については、広告投資の段階はすでに終了しているため、売れた分だけが利益になっていく領域ということができます。
 企業としては、一人でも多くのお客さまにロイヤルカスタマーになってもらうためのフォローやシナリオ、戦略を考えていかなくてはいけません。どこに、どのタイミングでどういった広告を投下すれば、ロイヤルカスタマーになりやすいか、というところまで検討する必要があります。
 むやみに広告を投下するのは、もちろん賢明な選択ではありません。注文一件あたりのコストパフォーマンスが良かったとしても、LTVがいっこうに上がらなければ、早晩自転車操業状態に陥るのです。(つづく)


〈筆者プロフィール〉
 ライフエックス代表取締役社長 工藤一朗

 1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。
 入社後すぐに売上ナンバーワンを記録。その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
 09年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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