【Amazon出品〈気になるトピックを徹底解説!〉】第2回 顧客満足を優先した結果の値上げ

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 Amazonが出品者に出品サービスの手数料の値上げを求めたり、仕入れ先に”協力金”を要請したりしている報道が、話題となっています。出品者や仕入れ先にとってはコストの増加につながりますから関心も高いでしょう。ただ、単に「Amazonが手数料を上げて利益を得ている」と考えるのは間違っていると思います。Amazonが出品者や仕入れ先のコスト負担を増やす理由や背景、今後の動向について解説します。


■顧客満足度が最優先

 Amazonは2月21日、物流代行サービス「フルフィルメントbyAmazon(FBA)」の手数料を4月24日から値上げすると発表しました。2月27日には、Amazonが直販商品のメーカーの一部に対して、”協力金”という形で、新たに手数料を要請していると、一部で報道されました。二つの値上げの背景には、配送会社の運賃の値上げや、物流関連の人件費の高騰など、物流コストの増加があると思います。
 ただ、重要なのは「Amazonが単に自社の利益を追求して、手数料の値上げを行っているわけではない」ということです。Amazonは「地球上で最もお客さまを大切にする企業」という理念を掲げており、顧客満足度を最優先に考えています。最安値で商品を提供するためには、利益もどんどん投資に回すというのがAmazonなのです。その延長線上で出品者の値上げを行っているのです。
 米Amazonが17年11月に開始した「Discount Provided by Amazon(ディスカウントプロバイデッドバイアマゾン)」というサービスがあります。FBAを利用して販売する出品者の商品を、Amazonの負担で設定価格よりも割引して販売するサービスです。例えば、出品者が5000円に設定した商品をAmazonが4500円に割引して販売した場合、出品者には、5000円の商品が売れたときと同じ金額が支払われます。このサービスはまだ日本では導入されていませんが、導入された場合には同様に、Amazonが負担する形で値下げを行うことになるはずです。
 また、先月2月28日から3日間開催されたAmazonのセールイベント「タイムセール祭り」では、Amazonで販売されている全商品がポイントアップの対象になりました。日本のAmazonで全商品が割引対象になるのは初めてです。このセールでは購入者に最大7.5%のポイントが付与されました。こうしたセールの割引分も、当然ですが、Amazonが負担しています。
 こうしたことから、Amazonが手数料値上げの一方で手数料負担もしていることや、顧客満足度を最優先して動いている企業だということを理解できると思います。


■法人税が課せられる可能性も

 「日本政府がアマゾンジャパンに法人税を課すのではないか」という報道も、頻繁に取り上げられるようになりました。一部では19年から課税が始まるのはないかという報道もあります。日本の法人税が課されるようになった場合、物流コストの増加に加えてさらにAmazonの負担が増えることになります。その分、出品者や仕入れ先が新たにコスト負担を強いられる可能性も高まっていると言えるでしょう。
 出品者としては、今後もAmazonで売り上げを上げていくためには、さらなるコスト負担の増加は避けられそうにありません。ただ、そうして出品者が負担したコストは顧客満足度を高めるために使われていると考えれば、少しは理解しやすいのではないでしょうか。今後も、Amazonの動向に注視しつつ、利益率の改善を図っていく必要があります。一方で、Amazonとともに顧客満足度の向上に努めていく必要があるでしょう。


〈プロフィール〉
 比良益章(ひら・ますあき)
 2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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