近年では、健康食品や化粧品といった単品リピート通販企業の間で、「お客さまとの関係を構築し、満足度を上げて、リピートにつなげる」という考え方が浸透しつつあります。当社では、お客さまのリピート利用を前提として、ブランド構築、商品開発、広告展開などの、戦略的アドバイスを行っています。お客さまの満足とは何か、お客さまとどういった関係を構築すればLTVが上がり、リピートにつながるのか、その一端をご紹介していきます。
■自社で「CRM」の定義を
お客さまの満足度を高めるためのお客さまとの関係構築は、一般的にCRMと呼ばれています。ここ数年でCRMという言葉が一般的になってきました。これまでは、DMやメルマガの送付といった、「買ってほしい」という企業側のアクションもCRMだという考え方もありました。ただ、企業のアクションだけでは一方通行になり、顧客満足度につながりません。
当社ではCRMを、「自社の資産であるお客さまと関係を構築することで、お客さまのLTVと満足度の最大化を図ること」と定義して、クライアントにアドバイスしています。
CRMという言葉をどうとらえるかで、EC運用やお客さまとの関係構築の方法が変わってきます。それぞれの企業がしっかりと自社のCRMについて定義することが必要です。その上で、お客さまとの関係構築には何が必要かを考えるべきでしょう。
■企業理念が顧客満足度に
企業の経営方針や事業方針が、お客さまの満足度向上につながるという考え方もあります。多くの商品の中からお客さまが、一つの商品を選ぶためには、商品の良さだけでなく、企業がどういった考えで商品を販売しているかも、顧客体験につながります。
顧客満足度が非常に高いことで有名な米EC企業Zappos(ザッポス)では、「従業員の働きがいが、顧客満足に結びつく」という考え方をしています。
私がかつて所属していたベルーナでも、「できない理由ではなくできる方法を考えよう」という社風がありました。非常に働きやすく、企業としても成功しています。
お客さま満足度向上のためには、企業理念と事業の運営に、説得力のあるつながりが必要です。企業理念と事業方針はお客さまに伝わり、お客さまが企業理念に賛同すれば、結果的に顧客満足度の向上につながります。
■解約時のデータを重視
こういった、社風をPRすることで、定性的にお客さまの満足度を向上させる方法がある一方で、定量的にお客さまの満足度を図る方法もあります。CRMの専門家の間では、お客さまの満足度は(1)商品の満足(2)サービスの満足(3)アフターケアの満足度ーーーの三つの基準で測ることができると考えられています。
三つの基準で満足度を測る方法としては、お客さまに対してアンケート調査を実施する方法が一般的です。ウェブ上では、解約時のアンケートから正確なデータが取れると言われています。ウェブ上であれば、お客さまは遠慮せずに意見を言う傾向があります。解約するお客さまは、商品やサービス、ECの利便性などについて「良くない」という意見をいってくれます。こうした意見を、サイトやサービスの改善につなげれば、リピートにつながりやすい状況が作れるのではないでしょうか。
(つづく)
《筆者プロフィール》
1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。
入社後すぐに売上No.1を記録。
その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
2009年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。
《新連載》【リピートEC成功の秘訣~真の顧客満足向上とは~】第1回 リピート前提のブランディングを
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