EC発ブランド「ゴゴシング)」は、トレンドに敏感な10~20代女性をターゲットに07年からさまざまなアパレルアイテムの販売を手掛けています。
「ゴゴシング」を率いる黄・ウンスクCEOは、グローバルECが活性化し始めた14年から、越境ECプラットフォーム「カフェ24」で韓国国内にとどまらず、越境ECも展開しています。
海外展開当初、中国向けと日本向けのサイトを同時に構築したものの、巨大市場の中国より日本での反応に手応えを感じたといいます。その後、売り上げが継続して成長。海外売り上げの90%を日本が占めるなど反響が続いています。
黄CEOは成長の理由について、「越境EC展開の際、進出国の消費者に合わせた現地化戦略が重要です。例えば、日本の消費者が通販サイトにアクセスしたとき、日頃利用する見慣れたサイトと同様に、違和感を覚えないようなサイト構築が必要です。これにうまく対応するため、日本参入以前に時間をかけてトレンドや消費者特性を分析した点が良かったと思います」と話しています。
■月250種類を提示
「ゴゴシング」は、日本の消費者が好む無彩色系でデザインした商品をサイト上段に掲示しています。
イベント情報やベストアイテムページの更新でサイトに動きを作ることで、訪問者を誘導しています。登録顧客は「コンビニ後払い決済」や「ヤマト運輸」も利用できるなど、日本のECサイトと同様のサービスを提供しています。
近年、日本に参入する韓国アパレルECの増加に対応するため、「ゴゴシング」は10年以上培ったノウハウを基に差別化戦略に力を入れています。特に、同社の自社サイトを利用する10代後半~20代前半の若年層の購入履歴や人気商品を分析し、ターゲットのニーズを踏まえた商品開発に取り組んでいます。
実際、若年層の場合、トレンドに非常に敏感なので、シーズン別に流行を取り入れた商品を適切に提示できないと、売り上げ減少へつながることもあるようです。このような特徴は日韓で類似しており、毎月250種類のアパレル商品を定期的に更新しています。
「ゴゴシング」はこのような取り組みで「最新トレンドが見えるアパレルEC」のイメージ構築に成功、日韓のリピーターが継続して増加しています。
■SNSも有効活用
韓国と同様に日本はSNSマーケティングが活発な市場で、特定のモデルに憧れる消費者が多く、人気モデルにコメントをつけて応援するユーザーも多いようです。
このため「ゴゴシング」では、インスタグラムアカウントを運営し、割引イベントや新商品情報、コーディネート提案など多様な情報を発信しています。このことは、自社サイトへの流入増加はもちろん、信頼度向上にもつながっており、リピーター確保にも効果があるといいます。
「10年以上の自社EC運営で培ったノウハウや競争力を生かし、顧客のニーズを踏まえた商品を増やしていきます。独自商品の割合を増やすことで、短納期対応など全般的なサービス向上も実現できると期待しています。また、体型が違う欧米市場よりは、スタイルや体型が似ているアジア諸国を中心に事業を拡大していく予定です」(黄CEO)と今後の取り組みについて話しています。
〈執筆者略歴〉
cafe24 マーケティング戦略研究所 イ・シファン所長
最近のEC市場において大きな話題となっている、「越境EC」に関するさまざまな経験やノウハウを蓄積している。記事の寄稿やセミナー講義、関連著書出版なども多数。日本や中華圏、英語圏市場進出を検討する企業に向けてマーケティング戦略、ビッグデータツール活用、ブランド戦略、CRM設計など専門的なコンサルティングを行っている。
【越境EC成功事例】第2回 レディースアパレル通販「ゴゴシング」/越境ECの鍵は「現地化」
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