《新連載》【「韓国発」 越境EC成功事例】第1回 レディースアパレル通販「エンビールック」/スピード戦略で越境EC展開

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
最新トレンドを発信

最新トレンドを発信

 韓国は全国にわたる高速インターネットやWi―Fiの完備、スマホの普及によりEC化が進み、企業のEC展開が活発な状況です。近年は、自社ECサイトを通じてグローバル市場向けに積極的な動きを見せている企業も増えています。
 04年に誕生したレディースアパレル「エンビールック」は、韓国国内の年間販売数が数百万枚を記録し、登録会員数は20万人を超えています。EC発ブランドの代表的な成功事例として有名であり、韓国国内にとどまらず、日本やアジア市場に向けた越境ECを展開しながら成長を遂げています。
 「エンビールック」を率いる趙・ドングCEOは、デザインからサンプル制作、商品撮影、ECサイト登録まで、3~4日間で完了できるシステムを構築しました。このようなスピード中心の経営で、特定したスタイルで、あらかじめ生産した商品をシーズン別に販売するブランドと差別化を図り、競争力を確保できているといいます。


■自動翻訳で越境EC

 カジュアル、セクシーなど、さまざまなスタイルを提示することで、韓国若年女性の間で、はやる最新トレンドを、韓国ファッションに関心を持つ海外ユーザーにも素早く伝えています。
 実際、「エンビールック」は韓国語のECサイト上に載せた商品を自動翻訳し、翌日には越境ECサイトでも販売しています。このように最新トレンドを迅速に発信することで、ファッション好きの海外ユーザーの流入を誘導しているようです。
 「トレンドだけを追うのではなく、新たなデザインやスタイルを提示することに力を入れています。アパレル企業にとって、ファッショントレンドに敏感な若年層の心をつかむためには、専門スタイリストたちを活用した取り組みも大事だと思います」(趙CEO)と話しています。


■海外向けの配送強化

 「エンビールック」はネットインフラを活用したシステム構築のほか、配送能力の向上にも取り組んでいます。金浦(キムポ)国際空港の近くに物流センターを開設し、海外へ迅速に出荷できる体制を整えています。
 これにより、他国の海外ECサイトに比べ、日本を含む海外ユーザーに向けても比較的に短納期で配送することが可能になったといいます。
 「例えば日本向けには、佐川急便など現地サービスを利用することで、購入者からの信頼と満足度を高める努力をしています。海外利用者の予想を上回る納期を実現したことで、リピーターや口コミも徐々に増えるようになりました。越境EC展開の際は、海外ユーザーもシームレスに購入できる仕組みを構築することが大事です」(同)と説明します。


■カフェ24を活用

 今後も「エンビールック」は、越境ECプラットフォーム「カフェ24」で開業した日本語、中国語(簡体、繁体)、英語のECサイトを通じて、海外展開を活発に行う予定です。すでに、配送競争力の確保とともに、多数のスナップ画像や詳細な商品情報など韓国発ECの独特さで、海外ユーザーから反響が続いています。
 「ECプラットフォームをうまく活用すれば、自国だけではなく、世界市場に向けて商売ができる時代になりました。今後も、弊社ブランドを世界中のユーザーが購入できるよう、海外展開を続けていきます」(同)と今後の取り組みについて話しています。


〈執筆者略歴〉
cafe24 マーケティング戦略研究所  イ・シファン所長

 最近のEC市場において大きな話題となっている、「越境EC」に関するさまざまな経験やノウハウを蓄積している。記事の寄稿やセミナー講義、関連著書出版なども多数。日本や中華圏、英語圏市場進出を検討する企業に向けてマーケティング戦略、ビッグデータツール活用、ブランド戦略、CRM設計など専門的なコンサルティングを行っている。

コーディネート提案にも注力

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ