EC事業者による、ネットを介した資金調達「クラウドファンディング(CF)」の活用が増えている。女性用下着を販売するFITTIN(フィッティン、本社東京都、本間佑史子社長)は2回のCFで約140万円を調達し、自社商品を開発。開発商品は発売からおよそ半年間で、約250万円を売り上げた。CFで調達した資金でリアル店舗も開設している。支援者が顧客となるケースも多い。SNSなどによる情報拡散が伴うため、新規顧客の獲得にもつながる。多くのCF仲介サイトがあり、地域性のあるサイトではメディアへの露出が期待できる。
■優良顧客を獲得
フィッティンは3~9月にかけて、CFで2度にわたり資金調達を行った。11月には、3度目のCFによる資金調達を行う予定だ。
2度の資金調達では、ECで販売する自社製品の開発や、フィッティングサロンの開設のために合計約140万円を集めた。開発した下着の先行販売や、サロンの利用料の割引を行う形で支援者を募った。支援状況の分析は、マーケティング調査にも役立ったという。
開発した下着は、上下1セット1万円の商品。10月上旬までに250セット以上販売した。CFの複数回の利用は商品の宣伝にもなっているという。
「支援者がサロンに来た際にはじっくり接客する。そのことが、優良顧客の獲得にもつながっていると感じている」(本間社長)とメリットを述べる。
11月に行うCFは、オンラインサロンの開発が目的で、チャットを介した接客サービスを展開する。「実店舗のサロンに来られないお客さまに対しても、ヒアリングやカウンセリングを行いたい」(同)と話す。
■宣伝は身内から
ペット用品のECを展開するピーシーズ(本社東京都、岩井喆聖社長)は8月、CFを活用して新サービスを展開するための資金を調達した。サービスを紹介するチラシを、公園でペット連れの人に配布するなどして、調達額を伸ばした。約9割の資金が募集期限前の10日間で集まった。
調達資金で始める新サービス「ぺかぎふ」は、ペットに合った餌やおもちゃなどを専門家が選定し、販売するサービス。1年以内に新サービスの利用者を5000人にまで伸ばしたい考えだ。
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月19日号で)
【EC売り方研究所】クラウドファンディング活用法/商品開発や顧客獲得に有効
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