【人気ネットショップの裏方事情】第80回 店頭小売から越境EC成功狙う

シンガポールの高島屋で展開したコスメの期間限定店舗

 北国からの贈り物では近年、アジア諸国でのEC事業を強化するために百貨店での店頭販売の取り組みを進めています。一見、遠回りのようではありますが、海外で生鮮食品を売るにはブランドの知名度を高め、味や価格に納得してもらう必要があると感じています。フェーストゥフェースの接客や、店舗を実際に見てもらうことで信頼を勝ち取り、将来的にECでリピートを促していく狙いがあります。
 当社はカニをメーンとした北海道の産直品を冷凍・冷蔵で取り扱っていますが、当社のような企業が海外で自社商品を売ろうとすると物流コストの壁に直面してしまいます。現在、シンガポールや香港まで1キログラム当たり5000円ほどで送ることができるようになりましたが、それでも高いことに変わりありません。1キログラム当たりの価格が500円ぐらいに下がらないと、生鮮食品の越境ECはビジネスモデルとして成立しません。
 ただ、あと5年ほどで海外への物流コストが大幅に引き下げられると見ています。そうなれば、生鮮商品の越境ECで成功を収める可能性も増すでしょう。20年、30年先を見据えると、海外での販売強化は必須です。他社に先駆けて海外販売の土台を構築しておくことが、優位性の確保につながると見ています。
 海外では、百貨店などで期間限定の実店舗運営を展開しています。進出8年目を迎えたシンガポールや、7年目の台湾ではブランド認知が進んでいると実感しており、ネットで商品情報を提供することで優良顧客の囲い込みを進めています。
 シンガポールや台湾には現地パートナーを設け、拠点、在庫、倉庫機能も確保しています。生鮮食品の場合は賞味期限の問題がネックとなるため、通販だけでなく、小売り・卸売りをすることで商品在庫をさばいています。販売する量が増えれば物流コストが下がり、現地の販売原価も下げることができます。徐々にではありますが、ECでも買い求めやすい価格を実現できるようになってきました。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月5日号で)


〈プロフィール〉
 加藤 敏明(かとう・としあき)氏
 65年北海道生まれ。東京都立大学卒業後、建築事務所に勤務。ネットショップ「北国からの贈り物」を98年6月にオープン。楽天市場ショップオブザイヤー・ベスト店長賞を4度受賞。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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