通販・ECなどで明太子を販売するふくや(本社福岡県)の21年3月期の通販・ECの売上高は、前期比14%増の40億円だった。同社は、50年以上前から通販事業を展開する老舗の通販企業。ECは97年から開始した。コロナ禍では、EC以外の通販の売上高が前期比4%の増収にとどまったのに対し、EC売上高は、同36%増と大きく伸びた。急増するECのニーズを捉え、サービスを積極展開した点が奏功したようだ。同社の売り上げの6割超を占めるのは贈答用の商品だ。近年、お中元やお歳暮は減少傾向にあるが、「カジュアルな贈答品」の需要は年々増えているという。同社では「カジュアルな贈答品」の需要を獲得するため、20年から「ふくやスマート便」のサービスを開始した。同サービスでは、相手の住所を知らなくても商品を発送できる。自社開発のシステムを使って、時代に合ったサービスを展開しているという。現在のサービス展開と、今後の展望について、川原武浩社長に話を聞いた。
■カジュアル贈答が主流に
─コロナ禍で売れ筋商品に変化はありましたか。
当社では、贈答品の売り上げが6割を占めています。これは明らかに贈答品と分かる商品の割合のため、実際の需要はそれ以上かもしれません。近年は、お中元やお歳暮などのフォーマルな贈答品の需要が減少傾向となっています。代わりに、家族や友人間の「カジュアルな贈答品」は、年々増えています。同じ贈答品でも、フォーマルとカジュアルでは、ニーズが異なります。当社では近年、カジュアルな贈答品の、セットや商品の開発に注力しています。
フォーマルの場合では、見た目もきれいで単価も高い「一本物」の明太子が好まれていました。一方カジュアルでは、家庭でも食べやすい「小分け」の商品が人気になっています。また明太子は生鮮品であるため、冷蔵庫や冷凍庫で保存します。「あまり大きいサイズを送ると邪魔かもしれない」という考えから、小サイズで、常温保存が可能な商品を送る顧客も増えています。
─商品開発にも変化はありましたか。
近年は、常温商品の開発に力を入れています。常温商品の形態は、缶やビン、レトルトなど、さまざまです。当社が持っていない加工技術を必要とする商品も出てきたため、外注している商品もあります。外注を始めたことにより、商品開発のスピードも速くなりました。以前は1年間に発売する新商品は4~5点でしたが、外注を始めてからは、年間で2桁の新商品を発売できるようになりました。
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月7日号で)
〈プロフィール〉
川原武浩氏(かわはら・たけひろ)氏
1971年、福岡県生まれ。2004年にふくや入社。朝日ビジネスコンサルティング、福岡サンパレスへの出向を経て、07年に、ふくやの取締役統括部長に就任した。17年から現職。福岡県をホームタウンとするサッカーチーム、アビスパ福岡の取締役も兼任。自身もアビスパ福岡のサポーターだという。
【ふくや 川原武浩代表取締役社長】 〈40億円売れる明太子通販〉SNSで贈れるギフトが好評(2021年10月7日号)
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