キリンと提携の狙いを聞く/よなよなエール"愛の伝道師"兼代表取締役社長  井手直行氏

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ヤッホーブルーイング 井手直行氏

ヤッホーブルーイング 井手直行氏

さらなるコンテンツ拡充に注力
 地ビール「よなよなエール」の醸造・販売を行っているヤッホーブルーイング(本社長野県、井手直行社長)は9月24日、大手ビールメーカーのキリンビールと資本提携契約を締結し、話題となった。ヤッホーブルーイングは一部製品の製造を、キリンに委託する。キリンはヤッホーブルーイングが持つファン獲得ノウハウを共有していく。同社はインターネット上などで「おもしろい」コンテンツを発信することで、多くのファンを獲得することに成功している。今年10月には「日本ネット経済新聞賞 地域貢献賞」を受賞。授賞式には「伝道師」に扮して登場し式を盛り上げた。数々の式典で派手な仮装をする名物店長としても知られている井手直行社長にキリンとの提携の狙いを聞いた。

キリンとの提携でコスト削減も
 ----キリンとの資本提携のいきさつを教えて下さい。
 事の発端は、当社が、長野・佐久平に構える醸造所でのビールの生産能力が供給に追い付かなくなってきていたことにあります。昨年10月ごろから複数のビールメーカーさんに製造委託のお話をこちらからさせていただき、提携の話を進めていました。その中で、キリンさんが条件の折り合いとして最適である、と判断したのが今年の春ごろです。約半年の期間をかけて提携の内容を詰め、9月末の発表に至った格好です。キリンさんとの提携を決めた経緯としては、「どこの工場で製造を受託できるか」などといった具体的なプランを示して頂けたところにあります。具体的な提携の進捗状況としては、現在はキリンの醸造所での試作を重ねている段階です。近日中に工場の選定に移る見込みです。中小のビールメーカーが大手に製造委託をお願いするということは、業界でも異例で、酒税法との兼ね合いについての調整を行っていきます。今後は材料の調達や物流の面でも共同して行っていく予定です。これによりコスト削減にもつながると考えています。
 ----製造を他に委託することによる味の変化などはどうでしょうか。
 レシピの共有もしておりますが、キリンさんの技術をもってすれば、当社が製造するものと寸分違わぬビールづくりが可能だと信じています。実際、試作品の段階でかなりハイレベルなものを実現していただいています。
 ----佐久平の醸造所との製造の兼ね合いはどのようにしていくのですか。
 基本的には、佐久平での製造キャパシティーをオーバーした分の生産をキリンさんにお願いしていくという形をとります。現在のスケジュール感でいくと、来年の4月頃から順次お願いをしていく予定です。当初から、「現在の体制では来年の春には、生産能力の限界が来る」と考えておりましたので、ちょうどいいタイミングとなりそうです。
 ----今回のキリンとの提携はネットショップにどういった影響がありそうですか。
 ネット通販への影響は大きくないと考えています。ただ、今回の提携がもたらす、ネット通販を運営する上でのメリットを一つあげるとするならば、製造に係る作業負担が大幅に軽減されていく点です。これにより今まで以上にインターネットコンテンツにかける時間や人員が多くとれるのではないかと考えています。
 ----キリンへのノウハウ共有についての進捗はいかがですか。
 キリンさん側からいろいろとお話をいただいている段階ではありますが、まだ手が回っていない状態です。何分当社は規模がまだまだ小さいため、製造委託の話が落ち着き次第、具体的に動いていく予定でいます。

(続きは本紙11月13日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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