【FINE 取締役COO 津田一志氏】〈アパレル再販サービスが急成長〉廃棄問題を解消する「Rename」の輪広げる

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 アパレルのリセール事業を展開するFINE(ファイン、本社愛知県、加藤ゆかり社長)が16年6月に開始した、ブランド名を表示しない再販サービス「Rename(リネーム)」が成長している。背景にあるのはアパレル業界の廃棄問題。環境への配慮など意識の高まりに応じて、ブランド価値を毀損(きそん)しない再販手法である「リネーム」の注目度が高まっている。19年9月期の売上高は前期比1.5倍、買い取り量は同2.7倍に増加。「リネーム」の取扱高は3割弱まで伸びており、同社の成長をけん引している。今後はオープン化を推進し、提携先をさらに拡大するという。「リネーム」の成長戦略を津田一志取締役COOに聞いた。

 ─リネーム事業を開始した経緯は。
 当社はもともと、CDやDVDの買い取り販売から事業を開始し、家具・家電など商材を広げていった。その中でもアパレルが成長し、4、5年前からファッション分野に絞ってリセール事業を展開している。基本的にはブランドから在庫を買い取り、ブランドを生かした形でネット販売したり、小売店に卸したりしている。
 あるブランドからプライベートブランド(PB=自主企画)商品の再販について相談された。PBなので他の販売チャネルでは基本的に販売できない。ブランドタグを切り取って販売する方法もあるが、洗濯表示のタグにも社名が記載されており、そこも切り取ると購入者が不便だし、クリーニングに出せなくなったり、商品の価値が落ちる。
 服本来のポテンシャルを生かし、より大切に利用してもらう方法はないかと模索する中で、タグを付け替える方法を考えた。たまたま取引していた倉庫はアパレル加工に対応できた。
 タグを付け替えることで再販できるとブランドに伝えるととても喜んでいただけた。商品を捨てたくて捨てている会社はない。「リネーム」という新しい手段が誕生した。
 ─その後は順調に「リネーム」による再販の依頼が増えたのか。
 当初はなかなか依頼が増えなかった。サービスの認知度は低かったし、タグを付け替えることへの理解も得られなかった。それが近年、アパレルの在庫廃棄が社会課題として顕在化してきた。ブランドの意識も高まり、「リネーム」が課題解決の手法として関心を集めるようになってきた。

(続きは、日本ネット経済新聞」10月31日号で)

〈プロフィール〉
 山口県出身。大学卒業後、EC事業の立ち上げやスマホゲーム会社のマーケティング職を務める。16年5月、FINEに入社。取締役COOとして業務全般を統括。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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