「楽天市場」の優良店舗を表彰する「楽天ショプ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2018」。グランプリを受賞したのはスポーツ用品を販売する「ヒマラヤ楽天市場店」だった。ECと実店舗の在庫を共有し、掲載商品数を最大化。実店舗からの発送体制も強化し、商品供給力を高めた。SOYを受賞した1月29日、楽天市場店の運営を担う、販売チャネル統括チームの宮城敏郎マネージャーは「19年8月期、楽天市場店だけで売上高100億円を目指す」と抱負を述べた。楽天市場における成長の秘訣について、宮城マネージャーに聞いた。
■リピート顧客が4割
─前回の総合6位から1位に上り詰めた。ショップが成長した要因は。
全国の実店舗とECの在庫を共有し、掲載商品を最大化している。現在、「ヒマラヤ楽天市場店」の掲載商品は4万品目。オリジナル商品で差別化しているわけではないので、より多くの商品を満足していただける価格で提供し、1日でも早く届けることを追求してきた。
商品は届け先から最も近い実店舗で発送している。105店ある実店舗を活用した発送体制は、自社の優位性を確保する上で重要だ。ネットショップだけでなく、会社全体で対応してきたことが受賞につながったと考えている。
当社の役員がECを強化すると宣言したのが数年前。社長が梱包作業に携わるなど、経営陣が積極的にECを盛り上げる姿勢を見せてきた。店舗受け取り分と、発送分の売上高を店舗の売り上げとして計上し、店舗スタッフの意欲も高めた。お客さまがネットで商品を買うか、店舗で買うかの違いだけという意識が浸透している。
─特に楽天市場店の運用で取り組んできたことは。
クーポンを活用した施策に最も力を注いだ。メインとなるのは購入金額に応じて割引額を変えるクーポン。金額の条件や有効期限を試行錯誤しながら配布してきた。当社が販売する商品は、買い替えサイクルが比較的長いので、有効期限を3カ月にするとよく使っていただける。使用意欲を刺激するせいか、有効期間が短いクーポンも反応が良かった。
店舗受け取りサービスの活用も促した。平常時の利用率は全体の7〜8%だが、利用者にポイントを付与すると20%程度に引き上げられる。ゴールデンウイークなど配送が集中しそうな時期にポイント進呈企画を実施し、配送が集中することによる影響を緩和しようと試みた。
新規顧客の獲得を目的に、プロテインやサプリメントの価格を調整し、拡販した。お客さまを呼ぶ商品として、他ショップの価格を見ながら最安値を維持。倉庫にも潤沢な在庫を積んで、すぐに発送できる体制を取っていた。リピート性の高いサプリメントの販売強化やクーポン施策の効果により、リピーターが増えてきていると感じる。数年前、20%に届かなかったリピート顧客の割合は、直近だと40%となっている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」2月14日号で)
〈プロフィール〉
みやぎ・としお
1974年、愛知県生まれ。弘前大学人文学部卒業後、ヒマラヤに入社。長らく店舗に勤務し、店長として店舗運営も経験。13年より現在の業務に従事。主に「楽天市場」「ヤフーショッピング」「アマゾン」を担当。
【ヒマラヤ楽天市場店 販売チャネル統括チーム 宮城敏郎マネージャー】〈楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2018グランプリ〉/楽天で売上高100億円目指す
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。