家電ECサイトを運営するディーライズ(本社東京都、貴島康博社長)の売上高が伸長している。17年2月期の売り上げは前期比22.4%増の114億7500万円で、設立9年で初めて100億円の大台を突破した。自社開発による独自システムを生かした販売戦略や業務の効率化が奏功した。今期の売上高は130億円を見込んでおり、前期を上回るペースで売り上げが向上しているという。貴島社長に事業戦略を聞いた。
■売り上げの半数は外部モール
ーーー前期の売上高が100億円を突破した要因は。
08年の設立以来、商品の仕入れを強化してきたことです。競争力のある商品の仕入れが非常に大事だと捉えています。当社には現在、仕入れ、販売の管理を担当するバイヤーが6人おり、いずれも実力のあるメンバーです。価格競争が激化する中、商品の仕入れは一朝一夕ではできないものなので、仕入れの実力差というものが業界内での勝ち負けに影響してきます。
ーーー売り上げ向上へ重視したことは。
当社は、自社ECサイトだけではなく、アマゾンや楽天、ヤフーのような外部モールでの販売も強化しています。外部モールを運営する会社は、私たちにはないノウハウを持っていますので、売り上げを伸ばす上で重要だと捉えています。どうすればディーライズの売上高を外部モールの中で大きくすることができるのか、それに対しどういったインフラが当社の方で必要なのかを考え、社内システムの開発に力を入れてきました。外注せず、自社で独自に開発しました。当社は従業員18人で事業を展開しています。少人数で100億円の売り上げを達成したのは、システムによる恩恵も大きいです。現在、売り上げの半数近くを外部モールが占めています。
■独自システムによる販売戦略
ーーーシステムの具体的な内容は。
商品の仕入れなどを行う販売戦略や経理などの社内業務を一括管理するシステムです。日々、改良を進めています。自社サイトを含め、7店舗のECサイトを運営していますが、すべて同一のシステムで管理しています。7店舗とも常に月商1億円以上の売り上げを維持しています。
通常、商品の仕入れ交渉は、さまざまな市場調査を行った上で、経験豊富なバイヤーが行っています。当社は商品を適切な価格で交渉していく上で重要なツールがあります。グーグルやヤフーで検索するような感覚で、その商品に対するあらゆるデータが検索可能となっています。
例えば、商品1個当たりにかかっている広告費を検索できます。広告費の判断を間違えて赤字になることはしばしばありますし、こういった情報を取るのは同業者でも難しい状況です。私たちはこれを瞬時に呼び出すことで、いくらで交渉できるのかということを判断していきます。広告費が分かれば、いくらで交渉すればいいのかが分かります。
当社ではバイヤーを商品カテゴリー別に分けていません。バイヤー全員がすべての取引先に対し、自由に交渉を行うことができる権限を持っています。ツールがあることで、バイヤーごとで判断にばらつきが出るのを防ぐことができます。1社当たりの交渉時間の短縮につながり、商品仕入れの強化につながっています。
(続きは、「日本ネット経済新聞」8月3日号で)
【ディーライズ 貴島 康博 社長】売上100億円を突破/独自システムによる業務効率化が奏功
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