爽快ドラッグ(本社東京都、小森紀昭社長)の16年3月期売上高は、前期比21.0%増の311億円だった。M&Aによってベビー用品やペット用品の品ぞろえを強化したり、ドリンク専門店を切り分けるなどカテゴリー強化策が増収に寄与したという。17年3月期の売上高は前期比30%増の400億円を目標に掲げている。モールECのトップランナーとしてさらに成長を加速する同社の戦略を小森社長に聞いた。
ーー前期は売上高が21%増となった。ペット用品ECのココロの買収が寄与したのか。
ココロのM&Aは前期の終盤(15年11月に買収)だったため、前期の売上高にはあまり寄与していない。既存事業の成長が大きかった。期初の目標を上回り、爽快ドラッグは前期比25%近く増収し、赤ちゃんハウス一二三(6月に吸収合併)は同10%以上増収した。ココロの売り上げや昨年5月に開始した越境ECの売り上げも加わり、最終的には21%の増収となった。
前々期(15年3月期)は消費増税の反動があり、特に赤ちゃんハウス一二三では品薄状態になった。メーカーに全く商品がなくなり、上期は売るものがない状態だった。爽快ドラッグも同様だ。下期からは解消した。
さらに下期はカテゴリーを分けた店舗の業績が良かった。飲料に特化した店舗「爽快ドリンク」を切り離した。爽快ドラッグと多少は食い合うかと思ったが、結果的には上積みできた。さっそく楽天のショップ・オブ・ザ・イヤーもいただいた。
ココロ買収前にペット用品の専門店「爽快ペットストア」についても売価や送料無料ラインを見直したことにより、反応が上がってきた。前期はこうした店舗の売り上げの伸びが通期で寄与した。
■専門性をさらに強化
ーー品ぞろえの拡充と、専門性の強化はどちらを優先させるのか。
どちらも強化しているが、バランスを見ながら優先順位を付けて取り組みたい。現在、商品数は21万品目ぐらいに増えている。取引先の数も中小含めて結構増えている。25万品目ぐらいまではいけると思う。このぐらいの規模になるとそれぞれの商品が埋もれてしまう。そのため、注力カテゴリーを切り離している。
爽快ドリンクは送料無料にして、販促をしない代わりにEDLP(エブリデーロープライス)にしたことで着実に売り上げを伸ばすことができた。「爽快ペットストア」は送料無料ラインを強豪並みに上げた一方、単価をしっかり落として勝負した。
「爽快ドラッグ」ではキャンペーンを実施するので、通常時の売価がどうしてもキャンペーンを意識した値付けになってしまう。それがなければもっと売価は低くできる。赤字で運営している店舗を除けば、オペレーションコストは当社が最も低いと思う。通常の仕入れ価格である限り、最安を狙えて当然だと考えている。メーカーとの商談もしっかりやれていると思う。
専門性という面では、まだまだやりきれていない。専門店として見られるにはもっと知見を高めていかないといけない。コンテンツ強化の取り組みは実験的に進めている。商品ページをリッチ化するとコンバージョンは確実に上がる。昨年末ぐらいから実験している取り組みが当たり始めているので、今期はさらに強化していきたい。
ーーページの見せ方にも注力するのか。
切り分ける前にできることがあると思っている。例えば商品カテゴリーを店舗内店舗のような形でピックアップするなど実験を進めている。商品ページの細かい修正などもまだまだやれることがある。
楽天において店舗が店舗を育てる「Rakuten Nations(ラクテン・ネーションズ)」という企画に参加している。当社は教える側だが、逆に学ぶことも多い。当社でもまだやりきれていない点が見えてきた。モールの機能もある程度使い切っていると思っていたが、まだまだ使いこなせていないことも分かった。品ぞろえや価格も大事だが、それ以前に商品ページの見せ方だったり、販促機能の使い方だったり、まだまだやれることがあると感じている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」6月30日号で)
【爽快ドラッグ 小森紀昭 社長】「品ぞろえ」「専門性」ともに高め2桁成長
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