【ネオ・ウィング 片桐文夫社長】98年から越境ECを開始/海外売上は国内同規模の約20億円

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 CD・DVDや書籍のネット販売を行うネオ・ウィング(本社東京都、片桐文夫社長)の15年10月期のEC売上高40億54000万円のうち、約20億円は越境ECによるものだった。越境ECの売り上げは前期比20%増のペースで拡大しており、国内ECと同規模にまで成長している。片桐社長は顧客サポートや梱包の丁寧さ、配送の正確性などが越境EC拡大の肝だという。


ーー越境ECを始めたきっかけは。
 国内向けにCD・DVDや書籍のネット販売を始めたのが97年でした。その後、海外の顧客から英文のメールで「商品を買いたい」という問い合わせが届くようになりました。最初の注文は忘れもしません。米国の顧客から日本の「ユーロビート」のCDを買いたいというメールが来ました。ユーロビートは海外の音楽が原点ですが、注文された方は日本の楽曲のクオリティーが高いから欲しいと注文してくださったのです。当時は意外なニーズがあるものだと思いました。
 わざわざメールで注文してくださった顧客の気持ちに応えたいと思い、イレギュラーな対応でしたが親切心で商品を販売させていただきました。するとそれが口コミで広がり、その顧客の仲間からも注文が入るようになりました。注文が増えてきたことから98年には英語版のECサイトを作りました。それが現在も運営している「CDジャパン」です。現在では英語以外にフランス語、スペイン語にも対応しています。

ーー海外向けECサイトの取扱商品は。
 国内同様にCD・DVD、本、ゲームソフトに加えて、フィギュアやキャラクターグッズなども取りそろえています。最近ではプラモデルや鉄道模型なども扱うようになりました。
 当社の取扱商品だけではなく、外部企業の出品も受け付けています。「CDジャパン」内に「JapanCraft(ジャパンクラフト)」という日本製品の販売コーナーを設け、熊野化粧筆など、こだわりのある商品を販売しています。現在、30社以上が出品しています。

ーー注文が来るのは、どこの国の顧客が多いのですか。
 欧米の顧客が70%以上を占めています。具体的には欧州が40%、北米が32%となっています。次に多いのが東南アジアや南米、オセアニアです。対応言語も関係していますが、日本のアニメやJ―POPなどが浸透している地域からの注文が多いです。中国は富裕層が増えたのでフィギュアなどの購入は少し増えましたが、CD・DVDは海賊版が出回っていることもあり、当社のサイトにおける中国人顧客のシェアは大きくありません。

ーーどのように海外顧客向けの販売を強化しているのですか。
 特徴のあるサービスをきちんとやることが大事だと考えています。特に肝となるのが配送と顧客サポートです。
 海外向けのサイトを構築したり、決済に対応したりするのは意外と簡単にできます。顧客獲得のためのマーケティングもグーグルなどの検索エンジン対策や広告施策によって可能です。難しいのは継続的にアクセスを集めることと、正確に商品を届ける物流のところです。
 マーケティングにおいてはSNSを積極的に活用しています。ツイッターやフェイスブック、ユーチューブなどでの情報配信にも注力していますが、やはり一番効果的なのはお客さまによるSNSへの投稿です。お客さまが「商品と一緒にこんな特典が届いた」と発信してくださったり、「こんなに丁寧に梱包して届けてくれた」と書き込んでくれたりするのが何よりも影響力があると考えています。そのためにもやはり正確に届けること、丁寧に梱包することなどが大事だと思います。
 国によって税関で商品が止まらないように対策を練ったり、地域によって配送会社を変えたりする工夫が必要です。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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