【サン・ダンス 久田 朝代 代表取締役】介護、子育てーー在宅ECはより重要な時代に

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 介護用品や家電などをネットで販売するサン・ダンス(本社東京都)の久田朝代社長は、親の介護と二人の子育てをしながら、自宅を事務所としてアマゾンを中心とした通販サイトの運営をしている。アマゾンの出品者向け融資サービス「Amazonレンディング」で仕入れを強化。サイトを一人で運営しているにもかかわらず、アマゾンだけの年商は6000万円に達している。今後、介護人口がさらに増えると予想される中、ネット通販などを活用して自宅でもできる仕事の重要性がますます高まるとみて、自身の経験とノウハウを広める活動にも積極的に取り組みたいと話す。

<約5年間の事業縮小時代を経て>
ーーネット通販を開始した経緯は。
 以前は東京・渋谷のマリンウェアを販売する店舗で店長をしていました。当時、携帯電話を安く販売する店が渋谷に2店舗しかなかった時代で、携帯電話も販売するように提案して実行したところ、行列ができるほどの人気になりました。その頃、ネット通販が徐々に広がってきて、店でネット通販も始めました。「ネットでは実店舗で買いにくい商材がいいのでは」と思い、体臭などの悩み系の商材を販売したところ、よく売れました。現在、大学生の長女が小学校に入学するまでには独立したいと思っていたので、ちょうどいいチャンスだと考え、ネット通販で独立しました。社名の「サン・ダンス」はネイティブインディアンの自然の恵みに感謝するお祭りの名称です。自然のもので作った商品や環境にいい商品をメーンに自社サイトで販売しました。


ーー介護をするようになったのはいつですか。
 独立から約3年後、私の両親と夫の父親が相次いで介護を要するようになりました。夫が父親と一緒に経営していた会社がリーマンショックのあおりを受けて取引先が倒産したり、アルツハイマーになってしまった私の母親がいろいろと商品を購入してしまったりして、うちの貯金がほとんどなくなってしまいました。しかも、サン・ダンスでよく売れていたデロンギのオイルヒーターがネットで流通できなくなり、売り上げが一気に落ちてしまいました。両親を介護施設ではなく、自宅で介護すると決めたので、なかなか子どもを遊びに連れて行ってあげることができず、外出したいときに外出できないことも苦しかったです。


ーー介護のため、ネット通販の事業は縮小したのですか。
 独立して貯金もするという計画の通りに夢を叶えてきていましたが、介護がとにかく大変で番狂わせになりました。ネット通販もあえて商材を増やさず、スタッフも3人いましたが介護が大変になってからは私一人で運営して5年間ほど事業を縮小していました。サーバー代などで自腹を切る状態でしたが、また本格的に仕事をしたいと思っていたので、サイト運営は止めませんでした。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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