ベビー・子ども服ブランドのファミリア(本社兵庫県、岡崎忠彦社長)は、全国に直営店舗など105店舗を有し、2005年からECサイト「ファミリアオンラインショップ」を開始した。
ECサイトでは、ファミリアで取り扱う主な商品6879品目を販売しており、実店舗で取り扱いのない商品も購入できる。アパレルだけでなく、家具や雑貨も取りそろえる。「家具などは店舗に在庫を置いていないが、利用シーンがイメージできるようなレイアウトにしている」(藤原里美ウェブショップ店長)と話す。
16年10月からは、実店舗とオンラインショップを連動させ、店頭に在庫がない商品を事前注文できる「オムニサービス」を開始。現在までに49店舗で展開している。
「オムニサービス」を導入するまでは、店頭に在庫がないと、取り寄せ注文をした後、店舗に商品を取りに来る必要があった。会員登録をすれば、オンラインショップから対象店舗に、希望の商品を事前に取り置き・取り寄せ注文ができる。「お客さまに買いやすい環境を整備することが目的」(藤原店長)と話す。
ECサイトでは、「スタイルブック」というコーディネートを提案するコンテンツを掲載。商品を検索すると近隣の実店舗に商品の在庫があるかどうかも確認することができる。そのため、来店前にウェブサイトで商品やコーディネートを確認してから来る人が多くなったという。
以前は、物流拠点が関東と兵庫県内の2カ所に分散していた。現在は、兵庫県内1カ所に集約した。これにより在庫の一元管理を実施し、ユーザーに商品が届くまでのリードタイムを短縮した。
ファミリアでは、妊娠中の人から2歳までの子どもがいる人を対象とした育児サポートサービス「1000daysサービス」に取り組み、新規会員獲得につなげている。東京・代官山店で開催するリアルイベント「プレママフェス」の告知をSNSなどで配信するほか、ウェブサイトで「for the first 1000 days」のコンセプトを自然検索から広げる取り組みを強化している。
9月には、新しいスマホアプリをリリース。天気予報や気温に合わせて、商品を提案するアプリを新たに稼働させた。このアプリでは子どもの情報を登録すると、天気や気温の他に、子どもの成長に合わせたコーディネート提案や、役立つ情報を紹介する機能も搭載。気になる商品はそのままオンラインショップで購入ができる。また、ファミリア以外の手持ちの洋服も登録ができ、ユーザー好みのコーディネートを楽しめる。
また、9月から「チャットボット」を導入。カスタマー対応が午後5時までのため、それ以降の対応にチャットを活用することで業務効率の改善につなげている。
19年1月期におけるEC売上高は前期比20%増(売り上げ数字非公表)を計画している。
■「キューノート」導入でメール開封率向上
ファミリアでは18年4月に、阪急阪神東宝グループのユミルリンク(本社東京都、清水亘社長、(電)03—6820—0515)が提供しているメール配信システム「Cuenote(キューノート)FC」を導入した。既存会員に対するメール配信を軸にアフターフォローに生かしている。
ワントゥワンマーケティングを取り入れ、子どもの成長に合わせたメール内容で、より関心度の高いメール配信を目指し「キューノートFC」を導入。設定のカスタマイズのしやすさも決め手だったという。
セグメント別では、例えば産前や生後2カ月、5カ月、10カ月、18カ月、誕生日別など約六つのカテゴリーを設定。顧客データを自動的に抽出し、ユーザーの特性に合った内容の販促をすることができるという。
導入後の成果としてメール開封率が飛躍的に向上。配信したユーザーの店舗やオンラインショップへの送客につながっている。送客後も着実な購入につながると同時に、商品を提案するレコメンド機能としても有効活用している。
今後は、メールにどのようなコンテンツを掲載するのかのA/Bテストを繰り返すことで、内容の充実を図っていく。
【メール配信システム「キューノートFC」 サービス概要】
ユミルリンクが提供するメール配信システムは、「Cuenote FC」とリレーサーバー「Cuenote SR—S」の2種類。「キューノート」は、大量のメールが高速で確実に配信できるのが最大の特徴だ。「キューノートFC」は、メールの効果測定や会員管理、システム連携用のAPIなども提供し、メールマーケティングも可能だ。導入金額はユニークアドレス数2000件の場合、月額で5000円。
「HTMLエディター機能」は、HTMLの知識が不要で、簡単にHTMLメールが作成できる専用のエディターとなっている。
【ファッションEC 2018】 〈ユミルリンク「キューノートFC」の導入事例〉ファミリア/実店舗との連動を強化/スマホアプリを積極活用
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