本紙がまとめた「ファッションEC売上高ランキングTOP100」では、昨年に続きユニクロが1位だった。ユニクロのように自社サイトを中心に実店舗と連携しながらサービスを磨く企業と、「ゾゾタウン」など成長するECモールで売り上げを伸ばす企業に分かれている。ECモールは厳しい競争の中でサービスの変化が激しく、ファッション企業は振り回されるケースも多い。EC事業を「ゾゾタウン」に頼っていた企業が”ゾゾ離れ”を始める動きもある。
■ゾゾタウンが楽天化
「ゾゾタウン」が「楽天市場」など総合モールと似たようなサービスを展開している。
定番になりつつある「ゾゾウィーク」は、「楽天スーパーSALE」のようだし、モール内広告も始まった。クーポンの配信頻度も上がり、買い回りでポイント付与率を高める施策も行うという。
ゾゾはPB商品「ゾゾ」の展開を強化するにあたり、「ゾゾタウン」の収益性拡大を図っている。流通総額は拡大し続けているが、規模拡大に伴い成長率は鈍化傾向にある。出店ブランドも増えており、競争の中で思うように成長できない店舗も増えているようだ。
ただ、モールが有力な売り場であることに変わりはない。「楽天市場」「アマゾン」のファッションジャンルも拡大傾向にあり、ファッション特化型の「ショップリスト」「マガシーク」などのモールも成長している。
多くのファッション企業は、今後もモールでの販売戦略を磨きながら、自社サイトを核にした実店舗との連携施策を強化する流れになりそうだ。
■ビームスに憧れ
多くのアパレル企業はビームスの動向に注目している。売上高が非公開であるため、ランキングには入っていないが、自社ECサイトを中心にEC売り上げを伸ばしているという。
注目されている理由は二つある。一つ目は「脱ゾゾ」にある。ビームスは以前、ゾゾに自社ECサイトの構築も任せており、EC事業自体がゾゾに依存していた。そのビームスが、現在では自社ECサイトをエンジンにEC事業を成長し続けている。
二つ目の注目ポイントは、「オムニチャネル化」の成功事例であること。リアルとネットでポイントや顧客のデータ統合を実現しているのはもちろん、ビームスの強みといえる「スタッフ」をオムニチャネルの核に据えている。
全国のショップスタッフが実名と顔写真付きで、自身のコーディネートやブログ記事を投稿している。ユーザーは顔なじみのスタッフのコンテンツから気になる商品を見つけ、自然な形でネット購入を促される。
”ゾゾ依存”を脱却できない企業にとって、ビームスの自社ECサイトシフトは目からうろこなのだ。
■掲載企業
・アマゾンジャパン
新境地開拓で次の成長を狙う
・ドゥクラッセ
・尾上繊維
・ズーティー
・ベリグリ
最新ソリューション活用術
・フューチャーショップ
・アイル
・夢展望
・クルーズECパートナーズ
・シップス
・ファミリア
【ファッションEC 2018】〈ファッションEC売上TOP100発表〉 「ユニクロ」2年連続1位/一部企業で”ゾゾ離れ”始まる
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