【BtoB―EC】 市場急拡大、344兆円規模に

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 メーカーや問屋、商社などの企業が、取引先との受発注にECサイトを活用する事例が増えている。BtoC―EC市場が拡大している一方で、BtoB―ECの市場はその約19倍と桁違いの規模になっている。企業では、働き方改革や限られた人員での対応に迫られており、生産性の向上は待ったなしの状況だ。本特集では、各企業の取り組みを紹介するほか、ECのウェブメディア「eコマースコンバージョンラボ(ecclab)」と共同で、BtoB―ECのサービスマップをまとめた。

 BtoB―EC市場が拡大している。経済産業省の統計によると、18年度(平成30年度)の市場規模は344兆円で、これは「BtoC―EC」の約19倍にあたる。メーカーや問屋、商社では、営業マンが企業に訪問して商品を提案する対面型から、EC企業から商品を仕入れたいという要望に応えるため、BtoB専用の卸サイトを構築する動きが活発化している。ここ数年で、BtoB―EC市場が拡大したのに伴い、与信管理や代金回収といった支援企業によるサービスも充実しており、さらなる拡大が期待されている。
 BtoB―ECの見通しについて「Bカート」を提供するDaiの鵜飼智史取締役は「これまでは、新たな販売チャネルとしてBtoCに注目が集まってきたが、今後はBtoB―ECにシフトしていくだろう」と予想。その理由について「市場環境の変化に伴いBtoB取引もEC化が進む」と話す。一方で、鵜飼氏は「企業の多くが電話やFAX、対面営業といった経営資源を人手でカバーするアナログな業務体制がいまも続いている」と指摘。その上で、労働人口の減少に伴い、企業の受発注業務もEC化すると予想する。イーシー・ライダーの川手正己社長は「社員が電話やFAXで得た情報を基幹システムに登録する作業が、本当に効率的なのかを疑問に思う経営者が増えてきた」とみる。
 経済産業省が、経営者がデジタル技術を活用して、新たなビジネスモデルを創出し、柔軟に改変する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を克服できないと、2025年以降に最大で年間12兆円もの経済損失が出る可能性があるという「2025年の崖」と呼ばれるレポートを発表。企業の経営力を強化するといったこうした観点からもBtoB取引のEC化が加速する可能性がある。

■掲載記事
・〈Dai「Bカート」導入事例〉防災専門店 MT―NET/見積書の自動作成機能が魅力/接点なかった自治会、保育園からも受注
・〈インタビュー〉イーシー・ライダー 川手正己社長/業務効率化を目的にEC化検討を
・ジェーエムエーシステムズ〈「2nd STEP」〉/売上拡大にも寄与/システム自動化を支援
・アイル〈「アラジンEC」〉/中堅規模向け実績豊富/BtoB特化でカスタマイズ対応
・ネットショップ支援室〈「楽楽B2B」〉/対応力好評で導入増加/業界初の注文書自動読込を実装
・〈BtoB―EC成功事例〉ヤマハミュージックジャパン/ネット受注率24ポイント増/サイト刷新、ユーザビリティー向上
・〈【インタビュー】電子請求書早払いを開始〉GMOペイメントゲートウェイ 吉岡優常務執行役員、インフォマート 中島健常務取締役/早払いサービス切り口に、業務効率改善に貢献
・〈ラブリー・ペット商事〉ペット専用の卸サイト「PETポチッと」/ペット用品の仕入れを支援
・〈コスモス・ベリーズ〉在庫持たず家電仕入れ実現/購入後のフォロー体制充実

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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