eBay Japan合同会社(イーベイジャパン、本社東京都、ヘンリー・チュン代表)が運営するECモール「Qoo10(キューテン)」は、2019年の年間流通総額が前年比40%増の成長となる見通し。チュン代表は、「おそらく日本のECモールでナンバーワンの成長率ではないか」と話す。テレビCMに加え、昨年9月には「メガ割」という大型セールを実施。モールの認知が高まるとともに、出店者の積極性も高まっている。チュン代表に19年の成果と20年の戦略を聞いた。
─19年の成果は。
18年にイーベイが「Qoo10」を買収してから掲げた最大の目標は、日本で最も早く成長するECモールにすることだった。そのために「Qoo10」の認知度を上げようと、テレビCMを展開した。19年の決算前(取材は12月中旬)だが、19年の流通総額は、前年比40%以上成長することができる見通しだ。おそらく日本のECモールの中ではナンバーワンの成長率ではないかと思う。
新規会員は1年間で300万人以上増えた。新規会員の80%が20~30代の女性だった。テレビCMで認知度を上げるとともに、20~30代の女性が買いたいファッションやビューティーを充実したことで新規会員として登録してもらえたと思う。19年は「Qoo10」として基盤を強化できた1年になった。
─テレビCM以外に強化したプロモーションは。
テレビCMが一番大きな施策に見えるだろうが、当社としては9月から始めた「メガ割」というセールが一番力強く取り組んだプロモーションだった。出店者と一緒に取り組んだプロモーションということに意義がある。第3四半期(7~9月)の流通総額は、「メガ割」に参加した商品の売り上げが50%以上を占めた。
テレビCMのキャンペーンと一緒に「メガ割」を展開することを、事前に出店者とコミュニケーションを取っていた。出店者には「Qoo10」の認知度が上がり、トラフィックがどれくらい増えるのか、期待感を持って「メガ割」に参加していただいたが、期待以上の成果を上げることができた。出店者からは次の「メガ割」はいつかという要請があり、11月にテレビCMを放送するタイミングに、急遽「メガ割」を実施することになった。「メガ割」は自律的に参加でき、費用負担もないことが出店者から好評だった。今後も伸びていくプロモーションになるだろう。
■営業が最も強い
─出店者向けの営業も強化しているのか。
当社の一番強い部分は営業だ。営業のアカウントマネージャーが約100人おり、全社員の半分が営業にあたる。キーセラーには密接にコミュニケーションを図っており、ある出店者からは競合の大手モールよりも「Qoo10」との取り組みがはまったときの方が売り上げは伸びると言われた。
イーベイグループになってから、営業内に新事業をサポートするチームを設置した。大手企業やECに慣れていない企業の販売を支援している。このチームの役割は大きく、ヤマダ電機や上新電機、アディダス、リーボックなどの大手セラーが出店した。19年で約2000店が増えており、全体では1万1000店を超えている。大手セラーが入ってきたので商品点数はさらに増えている。
■大手セラーの獲得狙う
─今後はどのような出店者を誘致するのか。
これまではSOHOブランドの出店が多かったが、有力ブランドにも積極的に出店していただきたいと考えている。「ゾゾタウン」に出店しているブランドも誘致したい。
今春には米国の輸入ブランドを「Qoo10」で販売する新事業を開始する予定だ。「eBay」に出店しているCOACH(コーチ)やGAP(ギャップ)など、日本のユーザーが好むブランドをキュレーションして、「Qoo10」で販売していく。
「Qoo10」はブランドアイテムより、トレンドファションの方が強いイメージがあると思う。ブランドからは「Qoo10」で売れるのかという疑問もあるだろう。米国の有力ブランドも並ぶことで、日本のブランドも出店しやすい環境を作りたい。
【Eコマース業界地図〈「ECモール&プラットフォーム編」〉】 〈「Qoo10」〉eBay Japan合同会社 ヘンリー・チュン代表/国内ECモールでナンバーワンの成長に
関連リンク・サイト
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。